X線1nm集光への挑戦
【研究キーワード】
X線ミラー / 集光 / 高精度ミラー / 精密加工 / 精密計測 / X線 / X線ミラー / X線集光
【研究成果の概要】
本研究は、「多層膜3次反射」と「超小型ミラー」というアイディアの導入により硬X線の微小集光の実現を目指している。本研究の開発項目として、超小型ミラー製造技術、多層膜ミラー作製技術、超小型KB集光システムの3つがある。これまで高い精度が要求される超小型ミラーの製造において、成膜による形状修正により、全長2mmの楕円筒ミラーを精度2nmレベルで作製し、全長8mmの楕円筒ミラーの作製にも成功している。この二つのミラーを用いたKB集光システムをSPring-8BL25SUに構築し、集光実験を実施し、100nm以下の集光サイズを確認していたが、理想的な回折限界の集光を確認していなかった。
今年度は、超小型ミラーの形状精度を向上させ、再度、集光実験を実施した。これまでの研究成果を活かし、精密なアライメントを実施し、2keVの軟X線をsub-30 nmの回折限界にまで集光することに成功した。さらに、後方にCCDカメラを設置し、走査型の軟X線顕微鏡を完成させた。蛍光X線ディテクターを搭載し集光サイズと同レベルの空間分解能をもつ元素イメージングシステムを構築した。タイコグラフィ法と組み合わせ、さらに高い空間分解能を実現した。また、開発した軟X線顕微鏡の応用として、細胞観察を行い、細胞内の酸素、炭素などの軽元素イメージングに成功した。
このように、ミラーの作製の高精度化により軟X線での回折限界集光を実現した。なお、実現したミラーの形状を想定し硬X線での計算を実施したところ、FWHMで10 nm以下の集光サイズが得られることを確認しており、硬X線領域への展開が可能となっている。
【研究代表者】
【研究分担者】 |
木村 隆志 | 東京大学 | 物性研究所 | 准教授 | (Kakenデータベース) |
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【研究種目】挑戦的研究(開拓)
【研究期間】2020-04-01 - 2023-03-31
【配分額】25,610千円 (直接経費: 19,700千円、間接経費: 5,910千円)