フェライトを用いる廃熱利用型炭素循環システムの研究
【研究分野】エネルギー学一般・原子力学
【研究キーワード】
水素発生反応 / ニッケルフェライト / 超微粒子 / エネルギー変換 / 太陽エネルギー / 炭素 / 反応性セラミック / 水素発生 / CINO層 / 酸素欠陥ニッケルフェライト / メタン化反応 / ケミカルヒートポンプ / 水素エネルギー / 金属酸化物
【研究成果の概要】
水素発生反応の原理の解明については、化学分析、X線回析、FT/1R、メスバウワ-効果、XPSの測定結果よりC10層(C/Fe^<2+>,Ni^<2+>酸化物層)が活性化状態になるときに金属イオン状態のままで、C10層中の酸素がより不足状態となり反応性が高まることが見いだされた。C10層はバルクとの間に連続層として存在しており、バルクそのものは、化学量論的なニッケルフェライトであることが分かった。Fe^<2+>は混在炭素によつて歪んだスピネル構造中に存在し、正常なスピネル構造のFe^<2+>の量に比べると多くのFe^<2+>が存在しているものと推定される。このFe^<2+>は炭素と隣接しているために低酸素分圧下に置かれるとカ-バイト結合様になり酸素を放出し易くなるものと考えられた。また、歪んだスピネル層中にFe^<2+>がリッチに存在する様式を歪んだFe0構造と見ることもできると考え、Zn0とFe0との共存する二相系を用い低酸素分圧下500℃処理を行ったところ、酸素放出の起こることを見出し、上記の機構の推定の妥当なことが確認された。この機構に基づき反応性がより高くなると考えられる素材を設計合成し、この機構を高機能化すれば酸素放性能を高めることが可能なことが見出された。また、超微粒子化により反応性を約3倍高めることに成功した。これらの素材を試験研究で試作した熱/化学エネルギー変換実験試作装置の1部に入れて熱化学的な実測を行ったが極めて低効率であった為、新たな熱吸収システム(第2Redox系による熱吸収増幅機構)を考案し効率化している。更に本システムは集光太陽エネルギーを化学エネルギーに変換する低温太陽エネルギー(400-800℃)/化学エネルギー変換システムへと発展させることができることに着目し、太陽光シュミレーション実験としてキセノンランプ光の照射による実験を開始した。キセノンランプの集光Fluxを本研究で見出した第2Redox系で熱回収するシステムで検討したところ、第2Redox系反応性セラミックを用いて、集光fluxが400-500℃の熱に変化すると同時に熱/化学エネルギー変換(集光/化学エネルギー直接変換システム)でき、太陽光の低温での効率的な水素エネルギーへの変換プロセスの可能性が見出された。
【研究代表者】
【研究分担者】 |
小國 正晴 | 東京工業大学 | 理学部 | 教授 | (Kakenデータベース) |
辻 正道 | 東京工業大学 | 炭素循環素材研究センター | 助教授 | (Kakenデータベース) |
|
【研究種目】一般研究(A)
【研究期間】1994 - 1995
【配分額】22,200千円 (直接経費: 22,200千円)