サブミクロン厚の超薄膜ガラスラミネートシールの開発と生体応用
【研究キーワード】
ガラス超薄膜 / 表面 / 接合 / 生体活性 / ガラス / 超薄膜ガラス / 接着
【研究成果の概要】
当該年度では、前年度で得られた結果をもとに、ガラス超薄膜の組成がTi基板との室温接合に及ぼす影響を調査した。45S5ガラスをもとにNa2O-CaO-SiO2系ガラスについてCaO/Na2O比やSiO2量を変化させて、Obreimoff-Metsik法により接着エネルギーを評価した。また、ガラス超薄膜をTi基板から剥離した表面のXPS測定を実施し、界面における組成比や化学状態を調査した。作製したガラス超薄膜はいずれもごく微量の水を介して室温でTi基板に接着された。CaO/Na2O比が1を超える組成では接着直後の接着エネルギーが数百mJ/m2であり、9時間が経過してもほぼ同じ接着エネルギーとなった。一方、CaO/Na2O比が1以下の組成では接着エネルギーは時間経過とともに増加し、接着強度の増加速度と最終的に得られる接着エネルギーは、CaO/Na2O比が大きいほど高くなった。XPS測定より接着前のガラス超薄膜の最表面には、CaO/Na2O<1の時Naリッチ層が形成されていることがわかった。また、剥離後のTi基板表面はCaO/Na2O比が大きいほどガラス成分の検出量が減少し、Tiのケミカルシフト量も小さかった。以上より、CaO/Na2O比が1より小さい組成でガラス超薄膜表面にNaリッチ層が形成され、Naリッチ層から溶出したNaにより界面pHが上昇し、Ti基板およびガラス超薄膜表面が腐食され、ガラス超薄膜とTi基板との界面に中間層が形成される。実際にこの中間層を断面TEM観察により確認した。したがって、Na2O-CaO-SiO2系ガラスにおいては、CaO/Na2O比を通して界面pHを制御することにより、ガラス超薄膜とTi基板の接合強度を制御できることが示された。
【研究代表者】
【研究分担者】 |
矢野 哲司 | 東京工業大学 | 物質理工学院 | 教授 | (Kakenデータベース) |
松下 伸広 | 東京工業大学 | 物質理工学院 | 教授 | (Kakenデータベース) |
|
【研究種目】基盤研究(B)
【研究期間】2018-04-01 - 2022-03-31
【配分額】16,250千円 (直接経費: 12,500千円、間接経費: 3,750千円)