MaaS+CV時代の次世代交通システムに向けたインフラと制度の設計
【研究キーワード】
Mobility as a Service / Connected Vehicle / 次世代交通システム / インフラストラクチャ設計 / 制度設計
【研究成果の概要】
本研究では,次世代交通システムの構成要素である「利用主体」「MaaS(Mobility as a Service)」「輸送主体」「CV(Connected Vehicle)による交通制御+道路インフラ」の特性を記述する数理モデルを構築し,これらの特性を数学的手法および数値計算によって解析し,さらに実データによって検証する.今年度(2020年度)は4年間の研究機関の初年度であり,各要素の条件を限定した比較的単純な数理モデルの構築と解析に着手した.今年度構築のモデルのポイントは,輸送主体やMaaSが多数のときの制度設計のための分析と,CVを前提とした優先制御の効果の分析の2点である.前者の分析においては,ネットワークに混雑が発生しない場合としうる場合の2つの状況を考慮した.混雑が発生しない場合は,輸送主体間に混雑による外部性が発生しないため,理想的状況では競争による最適な資源配分が期待できる.一方,混雑が発生する場合は,資源配分の調整が混雑により行われることになり,社会的損失が発生する.混雑料金や通行権のような規制により前者の状況を維持することが望ましい.それはできないときは,輸送主体間の外部性の排除を実現することが社会的に見てよりよい状況を実現するポイントとなる.後者の分析においては,輸送主体ごとに道路の容量を分割して割り振ることを制御の基本方策とした分析を行った.このための分析手法としては,信号機の適合制御で用いられる方法と,Cell Transmission ModelあるいはVariational Theoryを拡張した方法の2つを用いている.前者については大規模シミュレーションによる計算方法を開発している.後者については,いわゆるFirst in First Out制約の緩和による数理的手法を開発している.以上2点のほか,需要モデルの構築の着手も行っている.
【研究代表者】