都市歩行者レベルにおける大気環境の超解像評価システムの構築
【研究キーワード】
都市気象観測 / 大気汚染 / 数値シミュレーション / 都市大気境界層 / 接地境界層 / PM2.5 / 都市大気乱流 / 格子ボルツマン法 / 気象タワー観測 / 移動観測 / 都市微気象モデル / 超解像
【研究成果の概要】
本研究ではジャカルタを対象とした都市街区内における,移動排出源を対象とした物質の空間分布評価を目的としており,数値流体力学モデルに基づく微気象シミュレーションと,現地の気象観測タワー及び地上観測網に基づく気象及び大気質の実測データを用いた検討を行うものである.
本年度の実績として,数値シミュレーションについてはモデルの改良を行った.本研究では計算のメモリ節約のため,流体計算は格子ボルツマン法で計算し,熱・スカラーの移流拡散は差分法で計算する方法をとっている.これまでに熱による浮力効果,壁関数,ラグランジュ粒子拡散などをモデルに組み込んでいたが,現在の構成では剛体壁面近傍で温度が数値振動を起こしており,壁や地面近傍の気温や温熱感を評価する際に問題となることが明らかとなった.そこで熱の移流拡散に高精度の差分法を用いることで,剛体面近傍における温度場の再現性が改善した.
観測面においては,通年の地上気象観測網のデータを解析することで,ジャカルタの典型的な微気象場の日変動及び季節変動パターンを明らかにした.解析結果より,ジャカルタの海風の発生時刻及び,その侵入速度に明瞭な季節変動パターンがあり,特に夜間の大気放射が季節ごとに大きく異なることが主な要因であることが分かった.それに関連して,領域気象モデルを用いたジャカルタの海風の再現計算を実施し,海岸線が作る海風の侵入挙動の空間不均一性が,大気境界層の局所的な発達に影響を及ぼすこと示した.また,ジャカルタ市内に建設されていた高さ70mの鉄塔の,気象観測としての使用許可が下り,通年の気象要素と大気質の鉛直分布観測の計画が整った.それに基づき日本国内で計測機器の設置準備を行った.
【研究代表者】
【研究分担者】 |
長谷川 雄太 | 国立研究開発法人日本原子力研究開発機構 | システム計算科学センター | 研究職 | (Kakenデータベース) |
小野寺 直幸 | 国立研究開発法人日本原子力研究開発機構 | システム計算科学センター | 研究職 | (Kakenデータベース) |
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【研究種目】国際共同研究加速基金(国際共同研究強化(B))
【研究期間】2019-10-07 - 2023-03-31
【配分額】18,330千円 (直接経費: 14,100千円、間接経費: 4,230千円)