生産者・消費者双方に公正かつ効率的な農産物市場構造の解明と貿易政策の導出
【研究キーワード】
双方寡占 / 不完全競争空間均衡 / 貿易 / 二重構造寡占 / 需要分析 / 農産物貿易 / 政策評価 / シミュレーション / 二重構造不完全競争空間均衡モデル
【研究成果の概要】
今日のフードシステムは,市場の競争構造を明らかにし,社会経済厚生への影響を定量的に評価することが極めて重要な課題となっている.川上から川下までの農産物流通を俯瞰的に考察するためには,生産者・卸売業者・小売等によって構成される多段階の垂直的競争や,水平的競争を同時に検討する必要があり,この市場構造の特定には,一方の寡占・独占を前提としない,双方寡占モデルの適用が考えられる.本研究では,双方寡占モデルの推定により,フードシステムの市場構造を明らかにし,何らかの外部的なショックや政策変化が起きた場合の社会厚生の変化をシミュレーションする狙いがある.最終的に,生産者・消費者双方に公正かつ効率的な市場構造,及び,それを導くような現実的かつ適切な農業・農産物貿易政策を導出することを目標としている.
当該年度では,双方寡占の理論モデルを解き,日本の青果物市場データを用いた実証的に検証を行った.この推定はパラメータの識別が困難であることから推定結果が不安定となるというもんだいがあったが,非線形の最適化方法を採用することによって課題を解決している.他方,表明選好法を用いた需要分析にも注力し,農業生産の見える化技術採用に伴う日本消費者の中国産農産物に対する支払い意思額の推定や,中国農家の農業生産の見える化技術に対する受け入れ意思額の推定を通じて,農産物の需要・共有の分析を進めた.その結果,農業生産の見える化技術によって市場構造を歪める情報の非対称性を部分的に解決し,産地による価格の変化を軽減する効果があること確認された.そのほか,農産物生産の現場において,安定的な生産のために重要な,外国人実習生の実態や有機農業就農に関する経済分析も進めている.
【研究代表者】
【研究分担者】 |
前田 幸嗣 | 九州大学 | 農学研究院 | 教授 | (Kakenデータベース) |
佐藤 赳 | 東京大学 | 大学院農学生命科学研究科(農学部) | 助教 | (Kakenデータベース) |
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【研究種目】基盤研究(B)
【研究期間】2020-04-01 - 2025-03-31
【配分額】17,160千円 (直接経費: 13,200千円、間接経費: 3,960千円)