大環状糖クラスターを用いる細胞認識のシミュレーション
【研究分野】広領域
【研究キーワード】
遺伝子 / 遺伝子運搬 / 人工グリコウイルス / 糖クラスター / ガラクトース / 細胞認識 / プロテオグリカン / 細胞接着 / 人工ウイルス / 肝細胞 / エンドサイトーシス / 量子ドット / コンドロイチン硫酸 / 遺伝子診断 / ナノパーティクル / 水素結合 / 核酸 / 遺伝子導入 / 細胞 / トランスフェクション / 薬物運搬 / ルシフェラーゼ / 受容体
【研究成果の概要】
大環状(カリックスレゾルカレン)骨格に8個の糖鎖を配置したクラスター化合物をホスト(補足剤)/キャリア(運搬剤)とするデリバリーシステムを構築し、細胞認識の仕組みを明らかにした。主な成果は以下のとおりである。
(1)糖クラスターは会合数6程度のミセル様会合体を形成し、これはリン酸イオンにより凝集する。その駆動力は脱水和に基づくエントロピー獲得である。
(2)糖クラスターは核酸(プラスミドDNA)とも強く結合し、サイズが規制(約50nm)された人工"グリコウイルス"を与え、各種細胞にエンドサイトーシスにより取り込まれ(トランスフェクション)、プラスミドにコードされたタンパク質を発現する。
(3)エンドサイトーシスはサイズ依存的であり、最適サイズは約50nmである。末端糖鎖がガラクトースの場合、人工ウイルスはさらに会合し、トランスフェクション活性は低下する。一方、ガラクトースウイルスは肝細胞に対して受容体を介する経路で特異的に取り込まれる。このように、肝細胞に対して特異性を有するが、全体の活性(トランスフェクション効率)は低い。
(4)ガラクトースを部分的に有する人工ウイルスは会合を起こさず、肝細胞に対する高い選択性を保持しており、in vitroのみならずin vivo(マウス)においても高い肝臓指向性を有する。
(5)このように、糖鎖の数を考慮した単量体ガラクトースウイルスを用いることにより、高度の肝細胞指向性遺伝子運搬システムの構築に成功した。
(6)一方、細胞外マトリックス成分であるプロテオグリカンの機能に着目し、コンドロイチン硫酸を複数個置換した大環状プロテオグリカン類似体を合成し、これが糖クラスターのタンパク安定化効果により著しい細胞接着阻害効果を有することを明らかにした。
【研究代表者】
【研究分担者】 |
山東 信介 | 京都大学 | 工学研究科 | 助手 | (Kakenデータベース) |
秋吉 一成 | 東京医科歯科大学 | 生体材料工学研究所 | 教授 | (Kakenデータベース) |
|
【研究種目】基盤研究(B)
【研究期間】2001 - 2003
【配分額】16,000千円 (直接経費: 16,000千円)