構築と再利用の観点による西洋建築史学の再構築のための基礎研究
【研究分野】建築史・意匠
【研究キーワード】
西洋建築史 / 再利用 / 構築 / 文化財 / リノベーション / 時間 / 再開発 / マテリアリティ / 再利用的建築観 / 再開発的建築観 / 文化財的建築観 / 社会変動 / 建築再利用
【研究成果の概要】
本研究は西洋建築史研究を、様式という観点からではなく、継続する時間の観点から再構築する可能性を示した。従来の西洋建築史は、主として歴史上の建築が新築された瞬間に着目してきた。しかし本研究では、建築が建てられた後に遂げる変化に着目し、それを「再利用」(使い続ける)、「再開発」(破壊して新築する)、「文化財」(修復して保存する)という3つの態度に分類している。そのうえで、古代末期から始まる再利用、16世紀から始まる再開発、19世紀から始まる文化財、というように、それぞれの態度を歴史上に位置づけることで、新たな建築史研究の枠組みとその可能性を示した。
【研究の社会的意義】
本研究の主要な成果は『時がつくる建築:リノベーションの西洋建築史』(東京大学出版会、2017年)として出版した。本書は、建築史学領域、建築学領域、社会一般の領域のそれぞれに向けて、研究成果を発信することを試みたものであり、建築史学会賞、建築学会賞(論文)、サントリー学芸賞(芸術・文学)の3章を受賞した。本研究は、人口減少社会における建築のあり方を、建築史的観点から考える新たな視座を構築した。
【研究代表者】
【研究種目】基盤研究(C)
【研究期間】2015-04-01 - 2019-03-31
【配分額】4,550千円 (直接経費: 3,500千円、間接経費: 1,050千円)