ルーマニアの土砂移動と土砂災害の自然的要因と社会との関係の研究
【研究キーワード】
ルーマニア / 土砂 / 災害 / 自然環境 / 社会環境 / マスムーブメント / 土砂災害 / 自然的背景 / 社会的背景
【研究成果の概要】
本研究はルーマニアでの現地調査を主体とし、2022年3月に最初の調査を行う予定であった。しかし、コロナ禍により不可能となった。そこで、次年度以降の本格的な研究に向けて日本で可能な検討を進めた。
土砂移動と土砂災害の重要な原因である斜面崩壊について、中解像度のデータを用いた統計的な検討を行った。調査地域は本研究の対象であるルーマニア中部のカルパチア山脈と、日本の南アルプス南部である。斜面崩壊の発生しやすさを地形・地質などの土地条件から推定するモデルを、機械学習の技法であるランダムフォレスト法を用いて構築した。この際には実際に斜面崩壊が発生した場所とともに、斜面崩壊がない場所をサンプリングする必要があるが、後者については多様な方法が提案されている。ここでは複数の種類のランダムサンプリングを適用し、モデルの適合度を地域の地質の複雑さを考慮しつつ検討した。その結果、地質が複雑な地域ではランダムサンプリングの方法が適合度を大きく変えることが判明した。この地質の重要性を示す結果は、現地で高解像度のデータを取得して行う次年度以降の検討に示唆を与えるものである。他にも本研究と関連する地形学的な研究を行い、たとえば地震で生じる斜面崩壊や地すべりに対し、線状凹地の発生が強く関与していることを統計解析や機械学習で明らかにした。
本研究では現地調査でドローンを活用する予定である。そのための技術的な検討として、地形・植生の3次元モデルの構築と、それに基づく変化の抽出の位置精度について研究した。また、衛星データを用いて広域の地形変化を抽出する手法についても検討した。
さらに、土砂災害と関連するルーマニアの社会経済・文化的事情等に関する文献のレビューも行った。また、研究対象地域が属するブザウ地域がユネスコ世界ジオパークに認定されたことを受けて、ジオパークとしての本地域の状況についても調査した。
【研究代表者】