空間における立体音場の可視化とその建築計画への応用
【研究分野】都市計画・建築計画
【研究キーワード】
立体音場 / パーティクル・オブジェクト / ボリューム・レンダリング / シークエンス記述 / 駅 / 図書館 / 庭園 / 可視化 / 音環境 / シークエンス / 視覚障害者 / 音空間 / ダミーヘッドマイク / 空間認知 / 音場 / 聴覚による認知 / 空間把握 / パーティクル・オブジェクト・モデル
【研究成果の概要】
既往研究調査で、室内音響設計等の音評価と可視化、サウンドスケープ研究のフィールド調査結果のイメージ図、の分析から、計画へ適用されてきた可視化原理は限られ、もっぱら音性能に関してであったが、人の聴く音といった「可聴」をパラメーターに空間と対応させることが、計画設計支援ツールとして有用なことがわかった。そこで、空間での新たな音評価軸のためのパラメータの整理を行い、ダイナミックに変化する音源と聴取主体、時系列での音のシークエンスなどに対応した、音場の調査方法、聴覚の実験的アンケートでの留意点を整理した。また様々な建築空間での音の効果、特性、必要とされる性能などをまとめた。
「パーティクル・オブジェクト表現」は視覚障害者が駅で音を「歩行のためのサインとする」点に着目し、複数のサイン音が歩行にともない順次聞かれるケースを、パーティクル・オブジェクトを用いて方角や連続性などの点から検証した。「積極的サイン音」「消極的サイン音」「騒音」のように人にとっての音のカテゴライズを行うことで、誘導など音を積極的利用する計画の際に有効であることが分かった。
「ボリューム・レンダリング表現」では、図書館のように、音の発生場所、特定の場所にいる聴取者、を前提に、空間の状態を見るために簡易的に3Dで一覧でき、直感的に理解が可能となった。技術発達の現状からよりダイナミックな変化をとらえる可能性を示した。
「音のシークエンス記述モデル」は、歩行経路に沿って移動する聴取者が、連続的に聴く音の総体として空間を評価する手法である。視覚の連続的体験の分析手法であったシークエンス記述を応用し、一連の空間と時間の音の総体を表現した。1次元のグラフ的表現、2次元のmap表現、3次元的な音の広がりやその音源位置からの到達の様子など、特性が明らかになった。更に視覚的シークエンスとの重ね合わせで、空間の音と視覚に関する計画の総合化から実践的な計画に有効であることがわかった。
【研究代表者】