デザインゲームを用いた立体型複合都心居住街区の解析
【研究分野】建築計画・都市計画
【研究キーワード】
立体建替えデザインゲーム / 目標イメージ / 生活シーン / 容積率 / 複合市街地 / 土地利用 / 空間構成要素 / メッシュデータ / 再生依存要素 / 住宅用地率 / デザインゲーム
【研究成果の概要】
本年は立体型複合居住街区の解析における立体建替えデザインゲームの有効性を検証した。実際にまちづくりが進行し目標空間イメージの形成が進められている千代田区六番町地区において、ゲームをおこなった。参加者は地区住民約50人であった。ゲーム後、参加者は地区のルールについて討議を開始し、その共通認識を明文化した。それを煮詰めた結果、4ヶ月後地区の大半の合意で「六番町街づくり憲章」が成立した。さらに、その2ヶ月後、建築物等の整備方針をまとめ、地区計画の締結を呼びかけた「まちづくり提案書」が提出された。これらは目標イメージが地区で合意されたことを裏付けるものである。立体建替えデザインゲームが目標イメージの形成解析技術として有効であることが検証できた。
以上の実験結果から、ゲームをとおして、(1)地域固有の環境の再認識、(2)葛藤を通じた対立の克服のプロセス体験、(3)目標空間イメージとさらにそれをもとにした地区整備計画策定の理解、等を果たすことができ、それが実際のまちづくり推進にとって直接大きな効果をもたらすことが明らかになった。
研究を踏まえ、立体建替えデザインゲームの意義は以下のように総括できる。従来、都市計画における住民は計画策定の主体ではなく、計画提案及び地区の公共性と個人の調整等は行政の手に委ねられていた。その主要な理由は合意形成プロセスを住民自身が行うことを支援する具体的方法が不十分であったことである。しかし立体建替えデザインゲームにより目標イメージについて行政と住民が意思疎通を図りイメージを具体化することができ、現実のまちづくりの円滑な推進に効果があることが明らかになった。これは居住環境整備計画を地域社会に依拠しながら適切に形成する可能性を高めることになるといえる。制度上の段階的合意形成を実質的に担保し、居住環境整備の合意形成プロセス確立に有効な手法が開発されたといえる。
【研究代表者】