社会的包摂プログラムを組み込んだ外国人集住地区再生手法の実態と日本への適用
【研究キーワード】
住宅団地 / 外国人 / 移民 / 社会的包摂 / 団地再生
【研究成果の概要】
1)公的住宅団地の外国人集住実態に関するアンケート調査:昨年度抽出した日本国内の外国人集住地区702地区を対象に、公的住宅団地の立地状況を確認し、110団地・118団地管理者の外国人集住団地リストを作成した。次に118団地管理者を対象に、住宅団地における外国人集住の実態と課題、対策状況に関するアンケート調査を実施した(回収84、回収率71.2%)。その結果、外国人率が50%を超える団地も出現していること、中部圏の住宅団地におけるブラジル人集住が顕著であるものの、首都圏で中国人やインド人の集住が急激に進行している住宅団地があることがわかった。外国人集住団地の半数で生活上のトラブルがあるとしており、特にごみ捨てマナーや騒音が問題となりやすい。多言語での掲示が一般的な対策であるが、入居時の丁寧な説明や多言語対応が一定の効果をあげていることが明らかになった。
2)外国人集住団地での多文化共生活動に関する調査:上述したアンケート調査の中で、多文化共生活動を行っていると回答のあった団地を対象に、活動団体へのヒアリング調査を行い、活動の経緯や内容、課題を明らかにした。活動には自治会主体のもの、外部NPO等主体のものなどがあり、団地の問題を出発点とするものに加えて、自治体内の外国人増加への対応をきっかけとするものがあった。
3)海外の動向調査:移民対策が進むドイツとカナダで事例調査を行った。ドイツでは、ボーフム市Hustadt団地及びKo-Fabrikプロジェクトの視察を行った。両地区とも既存建物改修、公共空間改善、住宅整備といったハードに加えて、職業訓練や子どもの教育を通じたソフトプログラムと連携した取り組みを行い成果をあげている。カナダでは昨年に引き続き、トロント市における生活支援から雇用支援までの包括的な移民支援の取り組みを視察し、ハードとソフトの取り組みの連携の重要性を確認した。
【研究代表者】