ミャンマー少数民族地域における生態利用と世帯戦略:広域比較に向けて
【研究分野】地域研究
【研究キーワード】
世帯戦略 / 市場経済化 / 森林利用 / 植物資源 / ミャンマー / 少数民族 / 生業 / 小数民族
【研究成果の概要】
本プロジェクトの目的は、ミャンマーの少数民族地域における生態資源利用と、生業の単位としての世帯による経済的、社会的、文化的戦略について検証することである。国全体を見れば市場経済化が進行しつつあるものの、本計画の対象となる諸地域は、それに必ずしも十分に参与できない諸条件にあったり、あるいは国境に近接する立地条件のゆえに、別の市場との連携を強めているような地域であり、広く国内外の他地域との比較の視野からその動態を理解する必要がある。そのために、ミャンマーおよび東南アジア大陸部の他地域で少数民族地域調査の研究蓄積をもつ学際的な研究者の組織により、変容を遂げる地域の生態と社会を、生態資源利用と世帯戦略というミクロな観点に立脚しつつ、マクロな動態を理解することを目指してきたす。
その成果として、第一に、当地域における生態資源と人間の生活の営みとその社会・文化的基盤に関する基礎的な情報を歴史資料も含めて収集し、その周辺地域との比較の基盤を作ることができた。第二に、各メンバーの調査研究を通じて、そのような生態的・社会的特徴が現今の隣接地域との関わりや地域内の社会変化によってどのような変容をとげているかを検証し、この東南アジア地域の現状を学際的な視点から動態的な把握を試みた。バゴー山地では特に林業生態について、焼畑住民やタウンヤ造林に参加する農民と林業経営の両方の視点からデータ収集と分析が行われた。また、チン州における焼畑民の社会経済的な適応、カレン州における土地や宗教実践を介した世代の継承のあり方が、そしてシャン州の首長家のより大きな歴史の中での適応過程を見ることができた。
今後、国境を越えた広域比較を行う上での重要な基盤が形成された。
【研究代表者】