2015年ネパール地震後の社会再編に関する災害民族誌的研究
【研究分野】文化人類学・民俗学
【研究キーワード】
ネパール / 地震 / 社会再編 / 災害民族誌 / 災害人類学 / 社会的包摂 / ネットワーク / 在外ネパール人 / NGO / 世界遺産 / 生活戦略 / 仏教実践 / 国内労働移動 / 社会的保護制度 / 民主化 / 復旧 / 文化人類学 / 耐震型住居 / 仮設住居 / 給付金 / コミュニティ
【研究成果の概要】
研究者15名がネパールの14郡に広がる調査対象村や地域で各々現地調査を行い、ネパール地震後の復旧・復興過程を詳らかにした。それらの比較により地域ごとの多様性や相違、格差が明らかになり、その要因や背景を考察した。地域差が生じた要因のひとつに外国からの支援の有無がある。地域に外国、とくに先進国との繋がりをもつ者がいる世帯や村で復旧がより進んだ。その意味でトレッカーや登山家が訪れるランタンやソルクンブ郡の有利性が見て取れた。地震を契機とした社会再編は、短期的には「災害ユートピア」的な共助と平等性に基づき、長期的には被災前からある世帯間や地域間格差を助長する形で進んでいることが明らかになった。
【研究の社会的意義】
本研究は、被災前のネパール社会や文化に習熟した研究者が、ネパール語などの現地語を用いて行った災害研究である。地震後始めてネパールを訪ねる調査とは異なる、被災者に寄り添った、肌理細かな調査がなされた。15名の調査地は被災地を広範にカバーし、その比較によりネパール地震の被害状況と復旧・復興過程、社会再編に関して多様性を提示し、包括的理解を提出できた。災害人類学的研究の充実に一定程度寄与できたと考えられ、論集の出版をもってネパールの特性を社会的にも発信できると予想される。
【研究代表者】