南米アンデス南部高地の言語多様性と口承の語り
【研究キーワード】
口承文学 / 存在論的転回 / パースペクティヴィズム / アイマラ語 / アンデス人類学 / ケチュア語 / オーラルヒストリー
【研究成果の概要】
本研究計画では、実施者がこれまで専門としてきたアンデス高地の多数派の先住民言語であるアイマラ語とケチュア語に加え、ボリビア西南部の話者の少ないウル・チパヤ語に研究対象を拡大することで、新たな視座を獲得することを目指している。この点について、この初年度である2021年度に現地調査を通じて必要な人脈を構築することを予定していたが、コロナ禍の影響で海外渡航の禁止が長引いたために、年度末まで含めて出張が適わず、現在2022年度の夏季休暇を利用した現地調査に向け調整を続けている。結果として、現地調査を基盤とする調査研究については一年の開始の遅れを被った。
このような状況下ではあったが、可能なところから研究に取りかかり、進捗を生むように努めた。既に過去の科研費のプロジェクトを通じて入手していた文献を元にウル・チパヤ語の文献調査を進め、言語の基本的特徴を把握しつつ、2022年度に向けた調査の下準備をさらに強化した。また、研究計画の理論的側面であるエドゥアルド・ヴィヴェイロス・デ・カストロの枠組みに基づいて、アンデス先住民の口承文学におけるパースペクティヴィズムの比較と類型化に取り組んだ。これについては2022年度中に、日本口承文芸学会年次大会でのシンポジウム基調講演というかたちで学会発表を行い、同時に同年度中に論文二本の公刊を予定するところまで漕ぎつけた。
したがって、困難な状況下ではあったが、研究初年度の予備的文献サーベイと理論的考察を進めることに関して一定の進捗をみており、2022年度からの調査の本格化に備えることができたと考えている。
【研究代表者】
【研究種目】基盤研究(C)
【研究期間】2021-04-01 - 2024-03-31
【配分額】2,470千円 (直接経費: 1,900千円、間接経費: 570千円)