現代中国の産業化における基層文化の変容と展開
【研究分野】文化人類学(含民族学・民俗学)
【研究キーワード】
現代中国 / 改革開放 / 産業化 / 村落構造 / 基層文化 / 社会変動 / 現代化 / 家族・親族 / 村落
【研究成果の概要】
本研究は、1970年代末から始まり、90年代以降本格化した中国の現代化、市場経済化の過程の中で、長い歴史をもつ中国社会がいかなる変容を遂げつつあるのか、その変容をもたらしている原動力はいかなる処にあり、それらがもつ社会・歴史的な意味は何なのか、という課題について、中国社会の基層文化とその現代的組み替えの論理に焦点を当てて解明しようとすることを目的とした。
その課題および目的を達成するために、中国の伝統社会をもっとも強く体現していると考えられ、また現代中国の圧倒的部分を占める農村、村落社会を具体的調査研究対象として設定することにより、そこでの新中国成立直前から1990年代に至る社会変動過程を、主として村落住民当事者からの聞き取りと現存する文書資料から再構成し、併せて90年代末の現状を克明に把握することを通じて明らかにすること、そして、そこから先述の研究目的に迫るという方法をとった。
その具体的な研究内容についてはここでは省略するが、一連の調査研究から明らかになったことは概略以下の通りである。
(1)中国の1970年代末以降の現代化政策-改革開放、社会主義市場経済化-は、単にそれまでの中国及び中国共産党を取り巻く世界情勢の外圧によって生じたものではなく、中国の農民を主要な構成要素とする民衆がその歴史の中で培い維持してきた基層文化の大きなエネルギーの表出として現われたものである。
(2)そのエネルギーの現われ方は、その基層文化のストレートな再現ではなく、中国が置かれた内外の諸条件に対応する中で、伝統的な心意と文化を巧みに組み替え、再編成するものとして実現されているものである。
以上の知見は、報告書本文に著わされた個々の実証的な報告に詳細に記されている通りである。
【研究代表者】
【研究分担者】 |
小林 一美 | 神奈川大学 | 外国部学部 | 教授 | (Kakenデータベース) |
園田 茂人 | 中央大学 | 文学部 | 教授 | (Kakenデータベース) |
稲月 正 | 北九州大学 | 外国語学部 | 助教授 | (Kakenデータベース) |
陸 学芸 | 中国社会科学院 | 社会学研究所 | 所長 |
張 厚義 | 中国社会科学院 | 社会学研究所 | 研究員 |
LU Xue-Yi | Tokiwa University | Chinese Academy of Social Science |
ZHANG Hou-Yi | China public University |
佐々木 衛 | 神戸大学 | 文学部 | 教授 | (Kakenデータベース) |
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【研究種目】基盤研究(B)
【研究期間】1997 - 1999
【配分額】9,200千円 (直接経費: 9,200千円)