人口の高齢化と地域社会-日本とスウェーデンの比較研究
【研究分野】社会学(含社会福祉関係)
【研究キーワード】
国際情報交換 / スウェーデン / 高齢社会 / 地域社会 / 地方自治体 / 地域経済史 / 高齢者保険福祉政策 / ユニットケア / 高齢者保健福祉政策 / 国際研究者交流 / 地域史 / 家族支援
【研究成果の概要】
これまで継続的に進めてきた本研究を構成する4部門について以下のように実行し、全体のまとめを行なった。
1.地域社会と高齢者ケア
・日本とスウェーデンの4自治体について、地域特性を比較した。
・地方自治体の議員の役割を比較するために、インタビューデータの英訳を行い、分析を進めた。
・高齢者個人のライフヒストリーの分析を進め、日本とスウェーデンの比較を行なった。
2.高齢夫婦の施設入居プロセスの比較
・昨年度に引き続き2002年度に実施した調査データの共同解釈作業を進めながら、中間報告として2つの学会報告を行なった。共同解釈作業を効果的に行う為、2004年8月にスウェーデンを訪問し、スウェーデン側研究者の来日時に東京と大阪で分析会議をもった。
3.施設ケアの比較
・夏季に3名がスウェーデンを訪問し介護施設の比較調査を行った。スタッフの意識、施設での介護への姿勢、考え方などについてデータ収集を行った。同時に、施設経営の理念や取り組みについても経営者へのヒアリングを実施した。
4.スウェーデンにおける高齢者ケアの歴史的研究
・本年度は、ベール・ブルメー等の著作『スウェーデンの高齢者福祉』の翻訳を完成した。また、今まで収集した資料に基づき、現在進行している高齢者福祉政策の転換を歴史的に位置づけ、スウェーデン高齢者福祉政策の伝統とは何かを検討する作業を進めた。その結果、グローバリーゼーションが進行し、いわゆる新自由主義的潮流が台頭する中、スウェーデンは新しい政治的・経済的・社会的状況に対応しつつも従来の福祉政策の伝統を維持しようとしていることがわかった。そしてその伝統の一つが、社会的存在としての老人が主体的に生活する条件を整えようとすることであることも認識された。
・スウェーデンとともに北欧福祉国家のモデルをなすデンマークの地方分権制度、とくに分権的な保健医療予算の決定メカニズムを政党間の論争を含め、総合的に分析した。
【研究代表者】