ソーラー建築のエネルギー収支センサーロボットシステムに関する基礎研究
【研究分野】建築環境・設備
【研究キーワード】
ソーラー建築 / エネルギー収支 / センサー / ロボット / エミュレータ / 建物負荷 / センサーシステム / ロボット管理
【研究成果の概要】
太陽エネルギー利用建築(ソーラー建築)においては、建築のエネルギー消費量のうち太陽エネルギーで賄うことのできる割合「太陽依存率」を的確に捉えることが重要であるが、本研究では運用中の建物でリアルタイムに評価が可能な「建築物エネルギー収支センサーロボットシステム」と、それを利用した「太陽熱依存率評価システム」に係わる概念設計と演算法に関する基礎的な研究を行った。はじめに、エネルギー収支センサーロボットシステムの全体構成と機能に関する検討を行い、建物要所の内装材料に熱流センサーを組み込む方式と、熱的縮小模型を用いるエミュレータ手法の両者を考案した。前者の方式で必要となる内装部材の物性値に関する整理を行い、センサーに適した部材を選定した。それと並行して、実際に運用中のソーラー建築の調査解析を行い、室内壁面の温度分布やエネルギー消費実態などを明らかにした。また、後者の方式として、建物の外皮負荷をリアルタイムで評価することが可能なエミュレータに関する理論構築と基礎的な実験を行った。これは建物の熱的縮小模型の外皮負荷から実態の外皮負荷を演算しようとするもので、前者のように多数のセンサーを配置して計測する方法や、あるいは気象観測機器を用いて外乱を測定した上で外皮負荷を計算する方法とは異なる。内部温度の異なるエミュレータを同時に3組用いた基礎的な実験では、様々な実環境下でそれぞれの熱収支が理論通りであることを検証した。更に、太陽依存率の演算法に関する検討を行い、これらの手法を組み合わせてソーラー建築の太陽依存率をリアルタイムで求めることの可能性を明らかにした。
【研究代表者】