東日本大震災復興の検証と自然災害リスクを考慮した21世紀の都市誘導施策
【研究キーワード】
東日本大震災 / 南海トラフ地震 / 立地適正化計画制度 / 耐震補強推進策 / コンパクトシティ
【研究成果の概要】
本研究は、「A.震災復興の検証」、「B.国内各地の地域特性と災害リスクの実態把握」、「C.都市の誘導施策の提案と21世紀の未来像」の3つの大テーマおよび7つの小テーマにより構成される。
「A.」では、東日本大震災の復興検証を軸とする災害対応の都市・建築空間データベースをWEB公開した(日本語・英語)。また、名取市閖上地区における東日本大震災の被災者による居住環境評価に関するアンケートを実施し、分析・評価を行った。陸前高田市を対象とした事前移転の有効性についても検証し、学術論文として発表した。
「B.」の地域特性評価においては、昨年度に引き続き、COVID-19の影響を踏まえ、自然災害のみならず感染症やその他の災害をどう特性評価またはレジリエンス評価に加えるかを検討した。また、2020年に発生した熊本の洪水災害について、コロナ禍における自治体の対応、住民の取り組みや工夫を論文にまとめた。論文では、今後、複合災害などのリスクが高まる中での新たな災害対応に関する提案を行った。地域コミュニティについては、既存のデータや統計を用いて、ミクロな観点から指標を検討した。さらに、地震・洪水・海面上昇のハザードを対象に現状の都市リスクを調査し、各ハザードの脆弱性について分析するとともに人口減少率を踏まえ曝露量の観点から各都市リスクの変遷を明らかにした。
「C.」では、コンパクトな都市・地域の空間形態の形成のための手法の効果測定・評価を行った。具体的には、市街化調整区域内における開発が地区コミュニティ形成に与えた影響や、立地適正化計画策定による広域的な計画策定必要性の認識向上の実態等を明らかにした。また、海面上昇を考慮した都市リスクの未来シナリオを示した。さらに、白鬚東地区防災拠点における40年間の取り組みを検証し、今後の防災拠点のあり方を提案した。
【研究代表者】