災害で埋没した建物による民家建築史の研究
【研究キーワード】
埋没建物 / 民家史 / 考古学 / 建築史学
【研究成果の概要】
1783年の浅間山噴火によって埋没した石川原遺跡(群馬県長野原町)の発掘調査報告書(群馬県埋蔵文化財調査事業団作成)の作成に協力する形で、掘立柱による21号建物の出土建築部材について出土状態の写真や図面と照らして部材観察表を作成し、建築的特徴の把握に努めた。単に建築構造的な部分だけでなく、土座や板敷における敷物の相違、あるいは仏壇といった調度の様相にも注意する必要があることが判明した。また、出土した建築部材を、発掘調査の写真や図面から当初位置に復し、建造物の修理工事報告書並みの情報を整えるにはきわめて多大な作業量になることを改めて認識した。
一方、金井下新田遺跡(群馬県渋川市)は、6世紀初頭の榛名山二ッ岳の噴火による火砕流で埋没した遺跡だが、こちらも発掘調査報告書の作成が進んでおり、1号平地建物について、発掘調査成果をふまえた復元考察をおこなった。古墳時代の掘立柱建物の建築構造が具体的に判明する貴重な例である。
民家調査は、コロナ禍のため調査ができない状況であったが、2020年9月には、東京大・横浜国大・奈良文化財研究所の研究者が長野原町に集合し、悉皆調査を進めていく上で基本となる、調査や評価の方法について共通認識を得るため、実際の物件を調査しながら打ち合わせをおこなった。その後は再びコロナ禍のため調査できない状況が続いたが、2021年度に入って長野原町の悉皆調査を開始することができた。調査は東京大と横浜国大のチームでそれぞれおこなうが、事前に調査区域を調整するなど緊密に連携している。悉皆調査は2021年度にも継続していく。
また、中世の遺跡にはなるが、若宮大路周辺遺跡群(神奈川県鎌倉市)の出土建築部材について実見と検討をおこない、作成中の発掘調査報告書にその成果を反映させた。
【研究代表者】
【研究分担者】 |
海野 聡 | 東京大学 | 大学院工学系研究科(工学部) | 准教授 | (Kakenデータベース) |
大野 敏 | 横浜国立大学 | 大学院都市イノベーション研究院 | 教授 | (Kakenデータベース) |
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【研究種目】基盤研究(A)
【研究期間】2020-04-01 - 2025-03-31
【配分額】44,850千円 (直接経費: 34,500千円、間接経費: 10,350千円)