飛沫・飛沫核拡散の動的物理モデルの構築
【研究キーワード】
飛沫感染 / 空気感染 / 呼吸活動 / 飛沫 / 飛沫核 / エアロゾル / PIV / パーティ クルカウンター / 呼吸器感染症 / 数値解析(CFD) / 粒子画像流速計測法(PIV) / 干渉画像法(IMI)
【研究成果の概要】
本研究は、人の活動(咳、くしゃみ、会話)を通じて噴出される飛沫・飛沫核が室内環境へ飛散および拡散する物理的な現象を計測により明確に把握し、数値解析手法(CFD)で再現することを目的とする。
咳、くしゃみ、会話等の呼吸活動行為は、気流(気体)と飛沫・飛沫核(液体)が混在する流れを生成するが、異なる相を同時に観測することは困難であるため、相ごとに特性を把握して計測した実験結果を統合して解析する手順で研究を行った。
1.人の呼吸活動による気流特性の把握に関する研究
今年度は、レーザー光を利用するPIVを用いて人の呼吸活動(咳、くしゃみ、会話)による気流の特性を計測した。また、PIV実験から得た噴出気流の計測結果から特性を解析することで、気流分布に相当するCFDの境界条件を検討した。加えて、その境界条件に基づいて人呼吸活動(咳、くしゃみ、会話)により発生する気流の流れが再現できるCFDモデルを構築した。
2.人の呼吸活動により発生する飛沫・飛沫核の粒径分布の把握に関する研究
人の口から噴出された飛沫および飛沫核の粒子は、時間の経過とともに蒸発することで粒径が変化し、その粒子の浮遊時間は口からの距離に概ね比例する。人の息の気流が妨げられないようにチャンバー内部を空け、逆流の発生を防ぐために一定の方向の気流を形成するような設備を設計した。また、呼吸・咳・会話などの行動により呼吸器から発生するエアロゾルの粒径分布をパーティクルカウンターを用いて計測し、噴出した粒子の空間濃度分布を把握して各呼吸行動によるエアロゾル粒子の拡散傾向を比較した。1 μm以下の粒子は深呼吸条件が、6ー10 μmの粒子は咳の条件が最も多かった。また、咳の場合、エアロゾルの濃度が0.6 m、口腔呼吸は0.3 mまで現れ、会話は呼吸や咳より粒子が左右に広がる傾向が見られた。
【研究代表者】
【研究分担者】 |
菊本 英紀 | 東京大学 | 生産技術研究所 | 准教授 | (Kakenデータベース) |
呉 元錫 | 東京大学 | 生産技術研究所 | 助教 | (Kakenデータベース) |
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【研究種目】挑戦的研究(萌芽)
【研究期間】2021-07-09 - 2023-03-31
【配分額】6,500千円 (直接経費: 5,000千円、間接経費: 1,500千円)