大気圧プラズマリアクタによる非触媒型コンパクトリフォーマの開発
【研究分野】熱工学
【研究キーワード】
大気圧非平衡プラズマ / メタン改質 / 水素エネルギー / 低温改質 / 天然ガス / 誘電体バリア放電 / バイオガス / ハイブリッドリアクタ / メタン / スチームリフォーミング / 水素 / ストリーマ放電 / 振動励起
【研究成果の概要】
エネルギー有効利用を目的として,炭化水素燃料を非平衡プラズマ・触媒複合リアクタを用いて低温改質(300〜500℃)する技術の開発を行った。この背景として,非平衡プラズマによって生成したラジカルが熱化学プロセスより低い温度で分解されるところにあるものの,プラズマは様々な形態で化学反応に寄与することから,現象は複雑となっている。よって,赤外線カメラによって測定された触媒充填層温度に基づいた評価により反応に及ぼすプラズマの熱的・非熱的効果を調査するとともに,アレニウスプロット法による本リアクタの特性評価について検討した。
触媒として12wt%Ni/γ-Al2O3を充填し,両端をAl2O3で支持した。パルス波高電圧(+/-20kV at 1-5kpps)を電極間に印加してプラズマを形成する。模擬燃料としてCH4:N2=6:4とし,H2O/CH4=1とした。ガス総流量はGHSV=11500hr-1となるように設定した。反応温度は電気ヒーターを用いて充填層を600℃まで上昇させた。また,赤外線カメラを用いて反応中の触媒充填層温度の測定を行った。赤外線を透過できるようリアクタにはサファイヤ管を使用し,外部電極には窓を開けている。赤外線カメラはあらかじめ校正している。ハイブリッドリアクタにおいて我々は3つの条件:(1)プラズマのみ,(2)触媒のみ,(3)プラズマ+触媒,で実験を行った。触媒のみでは平衡転換率を大きく下回り,プラズマのみでも反応転換率は数%である。それに対し,これらを組み合わせることで相乗効果が出現し,転換率は平衡値に達した。(3)プラズマ+触媒,における充填層温度分布を赤外線カメラで計測した結果,メタン水蒸気改質の反応吸熱量により充填層温度は低下するが,温度が回復するまで投入電力を加えることで均一な温度分布が形成された。投入電力をさらに加えた場合,充填層の下流で温度上昇が確認された。ラジカル生成効果を引き出す電力には適正値があることを示している。実験で得られたメタン転換率-充填層温度のプロットから,アレニウスプロットを用いて見かけの活性化エネルギーを算出した。触媒のみでは69 kJ/molであったのに対して,プラズマと組み合わせた場合41 kJ/molとなりプラズマが反応を促進していることが示された。
【研究代表者】
【研究種目】若手研究(B)
【研究期間】2004 - 2005
【配分額】3,700千円 (直接経費: 3,700千円)