複合量子化半導体素子構造の開発とレーザー発振・吸収・利得特性の顕微透過計測
【研究分野】電子・電気材料工学
【研究キーワード】
量子構造 / 導波路 / 半導体 / 顕微 / レーザー
【研究成果の概要】
量子細線レーザーをはじめとする、電子閉じ込めと光閉じ込めを任意に組み合わせた立体量子構造を「複合量子化素子構造」と呼び、そのような素子構造群全体を対象として、試料構造の開発やレーザー発振特性や吸収・利得の評価を行った。このため、まず、電子状態と光導波路の設計・最適化を行うための有限要素計算プログラムを開発した。また、温度可変の光励起レーザー発振評価システム、トップビュー配置の発光スペクトルおよび画像計測システム、導波路の端面から検出を行う透過配置の顕微評価システムなどの開発を行った。
一方、へき開再成長丁型細線レーザー構造で、試料の品質を決定しているT字型構造の上側(110)界面の凸凹の研究を行い、アニールによる界面の均一化プロジェクトを進め、数十ミクロン以上の領域にわたって原子ステップがひとつもないほど均一な界面を得た。
そして、一本のシングルモード量子細線とシングルモード光導波路を組み合わせた、T型単一量子細線レーザー構造の作製に取り組み、H13年8月に世界で初めてレーザー発振の観測にした。この試料構造においては、一次元光導波路の中に、1次元量子細線のほかに2次元量子井戸や3次元ダブルヘテロ構造が含まれており、ほかに、2次元スラブ導波路と2次元量子井戸が組み合わさった部分も含まれている。すなわち、1D電子-1D光のほかに、2D電子-1D光、3D電子-1D光、2D電子-2D光などのさまざまな複合量子化半導体構造が同時に組み込まれている。それらのすべてのレーザー発振の特性を比較して議論することができた。このほか、1次元励起子と1次元連続状態の吸収スペクトルの分離に成功し、1次元系特有のゾンマーフェルト因子の評価などが達成できた。
【研究代表者】