擬似位相整合法を用いた第二高調波発生用導波路型素子の最適化に関する研究
【研究分野】電子機器工学
【研究キーワード】
第二高調波発生 / 分極反転 / 擬似位相整合 / ニオブ酸リチウム / KTP / 光損傷 / プロトン交換法 / Rbイオン交換法
【研究成果の概要】
CD用、レーザプリンタ用の光源として重要な、コヒーレントで安定な短波長光源を得るための第二高調波発生(SHG)素子の設計・作製を行い、また、最適な材料を決定するための物性パラメータの測定を行った。このために、周期的な分極反転構造を用いた擬似位相整合によるSHG素子を設計・試作した。ニオブ酸リチウム(LN)上にTi拡散により10.7μm周期の周期的分極反転構造を作製した後、プロトン交換光導波路を作製した。この擬似位相整合素子に基本波としてYAGレーザを入射し、SHGを確認した。また、SHG素子の高効率化を阻む最大の原因である光損傷の定量的な測定を行うことにより、最適な材料について検討した。代表的なSHG材料はLN結晶であるが、Mg0ドープLN結晶、KTP結晶は、より光損傷に強いことが報告されている。ここでは、LN及びMgOドープLN結晶にプロトン交換法を用いて作製した平面導波路、KTP結晶にRbイオン交換法により作製した平面導波路について光損傷の定量的な測定を行った。
測定の結果、プロトン交換層はTi拡散層に比べ10^4倍光損傷に強いが、導波層のアニール処理により光損傷耐性が減少することがわかった。SHG素子の作製の際、プロトン交換によって減少した非線形定数を回復させるためプロトン交換層を数時間アニールする必要がある。この場合、プロトン交換のみのものに比べて10^<-2>程度光損傷耐性が減少し、Mg0ドープの有無にかかわらず同様の結果が得られた。Rbイオン交換KTP導波路の光損傷耐性は作製条件により異なり、プロトン交換後数時間アニールした結晶とほぼ同じかやや大きめで、有望なSHG材料であることがわかった。また擬似位相整合素子においては、光損傷による屈折率変化が周期的分極反転構造により打ち消されて光損傷耐性が3倍程度向上し、構造自体が光損傷に強いことが実験により確認された。
【研究代表者】
【研究分担者】 |
荒川 泰彦 | 東京大学 | 生産技術研究所 | 助教授 | (Kakenデータベース) |
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【研究種目】一般研究(C)
【研究期間】1992
【配分額】2,000千円 (直接経費: 2,000千円)