2電極DFBレ-ザ-を用いた双安定波長スイッチングデバイスと超高速光-光スイッチングシステムの応用に関する研究
【研究分野】電子機器工学
【研究キーワード】
光双安定性 / 多電極DFBレ-ザ / 波長双安定性 / 波長スイッチング / 空間的ホ-ルバ-ニング / 利得飽和 / 光スイッチング
【研究成果の概要】
本研究者らは、波長領域での新機能素子の実現と超高速光-光スイッチングシステムへの応用を目的に、2電極DFBレ-ザを用いた双安定波長スイッチングデバイスを提案し、その基本特性ならびに応用の可能性を実験的・理論的に検討した。その主な成果は次の通りである。
1.波長双安定性の実験的・理論的解明:強く不均一に励起した2電極DFBレ-ザにおいて、波長間隔約2nm、相互抑圧比30dB以上の波長双安定特性が得られることを初めて示し、共振器内の光強度の不均一性に伴う空間的ホ-ルバ-ニング及び利得飽和によって生じること実験的に明らかにした。これらの実験結果を理論的に明らかにするため、空間的ホ-ルバ-ニングと利得飽和を考慮した理論を結合モ-ド方程式及びレ-ト方程式に基づいて定式化し、2電極DFBレ-ザの一般的解析手法を確立した。解析の結果、波長双安定性が空間的ホ-ルバ-ニングと利得飽和によって生じることが定量的に裏付けられた。また、波長双安定性は共振器内の光強度分布、キャリア密度分布の双安定性とも結びついていることを明らかにした。
2.双安定波長スイッチング動作の高速性の検証と応用可能性:波長双安定性は、波長変化に際して大きなキャリア密度変動を伴わないため、高速動作が期待できる。波長双安定性のダイナミクスを高速電流パルスの注入により調べた結果、2波長間のスイッチングにおいて200ピコ秒以下の応答速度を得るとともに、更に高速化の余地があることを示した。また、実用上重要な繰り返し周波数として1GHzを達成し、波長スイッチング動作の高速性を実証した。これにより、利得飽和を利用した超高速光-光スイッチングシステムへの応用の可能性が具体的に明らかとなった。
【研究代表者】
【研究分担者】 |
荒川 泰彦 | 東京大学 | 先端科学技術研究センター | 助教授 | (Kakenデータベース) |
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【研究種目】一般研究(C)
【研究期間】1989
【配分額】1,800千円 (直接経費: 1,800千円)