光ファイバ型光学素子開発を目指したシリカ系ガラスにおける屈折率増大機構の解明
【研究分野】電子・電気材料工学
【研究キーワード】
シリカ / 二酸化ケイ素 / 光ファイバ / シリカ系ガラス / 光学素子 / 屈折率増大 / 非線形光学 / シリカガラス / 光導波素子 / 光集積回路 / イオンビーム / 光導波路 / 回折格子 / シリコン酸窒化物
【研究成果の概要】
光波長多重通信網においては、光の分波機能を持つ光導波素子が必要となる。本研究は、光ファイバ型および平面型光導波素子にマイクロイオンビームや紫外光を導波素子に照射し、周期的に異なる屈折率を有する格子構造の形成を目指している。
1.イオンマイクロビーム照射によるシリカガラスの高密度化と屈折率変化:シリカガラスにH^+マイクロビーム照射を行い、顕微フォトルミネッセンス・ラマン分光、電子スピン共鳴法により評価した。注入イオンのエネルギー損失には原子衝突よりも電子励起の効果が大きいことをシミュレーションにより明らかにした。さらに、光ファイバ中に周期構造を実際に形成し、透過光損失特性を評価した。イオン照射されたシリカガラスの表面および側面に凹みが観測され、その主原因は高密度化であることを明らかにした。誘起屈折率変化は飛程付近で最大となり、回折格子作製に十分な値まで達することが分かった。マスクとして、電子線リソグラフィーによりシリコン窒化膜メンブレン上に周期2.65マイクロメートルのLine/Spaceパターンを作製し、イオン注入を行ったのちエッチングを行い、飛程の差に起因する凹凸の回折格子を形成した。フラウンホーファー回折により、回折格子の周期はLine/Spaceの周期と同じであると計算され、マスクパターン転写の成功が裏付けられた。
2.紫外光照射による屈折率増大:屈折率を1.45-2.00まで自在に変化できるシリコン酸窒化物は、光導波路材料の一つとして考えられている。紫外光エキシマレーザを照射することにより、屈折率を増加させることの可能なシリコン酸窒化物の作成方法および組成を明らかにした。屈折率上昇のメカニズムとして、高密度化に因る効果が大きいことを計算により導いた。さらに、周期1μmの平面回折格子を位相格子法により実際に作成し、光加工性の良さを示した。
【研究代表者】
【研究分担者】 |
加藤 宙光 | 日本学術振興会 | 特別研究員 |
宗田 孝之 | 早稲田大学 | 理工学部 | 教授 | (Kakenデータベース) |
濱 義昌 | 早稲田大学 | 理工学総合研究センター | 教授 | (Kakenデータベース) |
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【研究種目】基盤研究(B)
【研究期間】2000 - 2002
【配分額】10,800千円 (直接経費: 10,800千円)