フェライト被覆による静磁場の内皮細胞増殖促進効果を応用した小口径人工血管
【研究分野】医用生体工学・生体材料学
【研究キーワード】
人工血管 / 内皮細胞増殖 / フェライト被覆 / フェライトメッキ / マグネタイト / 生体適合成 / 静磁場 / フェライト / メッキ / 内皮細胞
【研究成果の概要】
交互配列静磁場が動脈内皮再生を促進することが期待されている。そこで本研究で我々は、細い人工血管の内壁をフェライト(酸化物強磁性体)で被覆することにより、フェライトの静磁場による内皮細胞を早く内壁に生着させて血栓の付着を防止する小口径人工血管を開発するための基礎的知見を得た。すなわち、広く人工血管に用いられている延進テフロン(EPTFE)製シートにフェライトメッキ法でマグネタイト(Fe_3O_4)層を堆積させるために、揆水性の表面を(1)高周波プラズマ照射処理および(2)H_3BO_3水溶液中においてエキシマランプ光照処理によって親水性に変えて、マグネタイト(Fe_3O_4)層をフェライトメッキ法で堆積させた。次いで得られたフェライトコートEPTFEシートを、実験動物(成犬)の大腿動脈に縫着して、フェライトによる生体適合性と内皮細胞増殖促進能を調べた。すなわち、雑種成犬4頭の頸動脈あるいは大腿動脈の一側にフェライトメッキパッチを他側にコントロールのパッチを縫合した。パッチの形状は紡錘状でサイズは2×1cmとした。フェライトメッキは縫合中にやや剥離しやすい傾向があった。2週間後に摘出し光顕にて検討した結果、フェライトパッチの生体適合性は対照群(E-PTFE)とほぼ同等で、異物反応なども認められなかった。内皮細胞増殖促進効果に関しては、フェライトパッチ表面をほぼ全面にわたり内皮細胞が覆っていたものの、対照群と有意な差がなかったため、詳細な途中経過の観察が必要と思われた。
【研究代表者】
【研究分担者】 |
宮脇 富士夫 | 国立循環器病センター研究所 | 実験治療開発部 | 研究室長 | (Kakenデータベース) |
|
【研究種目】一般研究(B)
【研究期間】1993 - 1995
【配分額】6,600千円 (直接経費: 6,600千円)