電流注入による量子細線レーザーの発振と低しきい値電流の検証
【研究分野】電子・電気材料工学
【研究キーワード】
電流注入 / GzAs / 量子細線 / T型 / レーザー / 分子線エピタキシー / 一次元 / ドーピング / GaAs / 電子正孔系
【研究成果の概要】
垂直及び平行配置の2通りのp-nドーピングプロファイルを有するT型量子細線レーザー構造において、電流注入での単一モード発振に成功した。これらのレーザーの共振器長は0.5mmで、端面にはAu/SiO2による高反射コートを施してある。へき開再成長T型量子細線レーザーは、その特異な作製法のために、レーザー光導波路がウエハーの角に形成され通常のフォトリソグラフィーの手法が使えない。また、p-n接合も立体的な配置を取り、通常の1次元ポアソン方程式に基づく設計が使えない。そこで、垂直及び平行配置p-nドーピングプロファイルのレーザー構造の設計、電極形成およびレーザーバー形成のための半導体プロセス、電流注入デバイス評価の手法開発を課題として克服しながら研究を進めた。
15本のT型細線からなる垂直p-n層を有する量子細線レーザーでは、電流注入T型細線レーザーとしては世界最高の5-110Kの広い温度で単一モード発振が観測された。しきい値電流と外部微分量子効率は100Kにおいて最良値をとり、それぞれ2.1mAおよび0.9%であった。一方、20本のT型細線からなる平行p-n層を有する量子細線レーザーにおいては、温度30-70Kで単一モード発振が観測され、温度30Kのとき0.27mAの最低しきい値が達成された。そのときの外部微分量子効率は12%であった。この0.27mAのしきい値電流は、1本あたりに直すと14μAとなる。0.5mmの細線の長さ、30Kの温度、約0.4nsのキャリア寿命に対して、Yarivの理論予測を適用すると約10μAであり上記の値にとても近いことが解る。今回得られた結果は、低温においてではあるが当初の理論予測を原理的に検証したと言える結果である。他にも、発光および発振スペクトル、IV特性、IL特性、しきい値電流と外部量子効率、それらの温度依存性など、詳細な物理計測が達成できた。
【研究代表者】
【研究分担者】 |
吉田 正裕 | 東京大学 | 物性研究所 | 助手 | (Kakenデータベース) |
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【研究種目】基盤研究(B)
【研究期間】2004 - 2005
【配分額】15,000千円 (直接経費: 15,000千円)