運動量-エネルギー空間における原子層レベルのキャリアダイナミクスと物性制御
【研究分野】表面界面物性
【研究キーワード】
プラズモン / EELS / シリコン / 銀 / エピタクシャル / 超薄膜 / LEED / エピタクシャル成長 / エネルギー分散関係 / 電荷 / 電子回折 / エピタクシー
【研究成果の概要】
エピタクシャル金属超薄膜や金属的電子状態をもつ表面超構造、低次元導電性固体などは近年興味深い物理現象が数多く見出され、また電子デバイスのミニチュアリゼーションの観点からもその注目度は年々高まっている。本研究では、これまでエネルギー分散関係の直接測定が難しかった低次元プラズモンの精密測定を行うことで低次元電子系・ホール系のダイナミクスの詳細を明らかにし、金属ナノ薄膜など低次元伝導構造をベースとした物質のプラズモン物性と、それを利用した新材料創製へ向けた基礎原理・指針構築の可能性を調べた。
初年度は研究代表者の東北大学への転任に伴い実験装置の再立ち上げと高性能化を進めた。その後半導体基板上の金属超薄膜のエピタクシャル成長条件の探索を系統的に進め、成長条件の最適化を行った。また、分担者稲岡の理論研究等をもとに、現象の基礎的理解を深めた。
次年以降度はシリコン表面に低温蒸着による「electronic growth法」でナノ構造制御された高品質のAg(111)超薄膜を作成し、その成長ダイナミクスとプラズモン分散関係をエネルギー分解能約10meV、波数分解能0.006l/Åの高波数分解EELS・LEED法により測定し膜厚・波数に応じて変化する2つのプラズモンモードを観察することに成功し、そのうち一つはこれまで理論的には予言されていたが、分散測定の無かった界面プラズモンモードであることが明らかになった。3層モデルにバルク誘電定数を代入することでAg/Siヘテロ系のプラズモン分散関係を計算した結果、実験で観測したモードとほぼ同じエネルギーと形状を持つ分枝が再現できた。また、シリコン高指数表面に金のナノワイヤー列を規則正しく並べ、その1次元プラズモン分散関係を側定し、交換相関効果やワイヤー間の相互作用を調べた。
【研究代表者】