高速可変波長変換器の研究
【研究分野】応用光学・量子光工学
【研究キーワード】
波長変換 / 全光ゲートスイッチ / 非線形光学効果 / 分布反射器 / 光カー効果 / 偏光無依存動作 / 全光スイッチング素子
【研究成果の概要】
光のままで光信号のルーティングを行う波長ルーティングは、割り当てられた波長によって経路選択を行う方法であるが、あらかじめ割り当てられた波長によって静的に経路が決まってしまう。動的なルーティングを行うためには、波長変換を行う必要がある。本研究では、高速に変換波長が可変できる波長変換回路を形成するために必要な要素技術について検討した。
全光ゲートスイッチに変換先の波長を有するCW光源を入力し、その波長に対する透過率を変換元の信号光によって変調することで入力信号を変換波長の光波にコピーする。高ビットレートの強度変調光信号に対応するために、光強度によって高速に屈折率が変化する光カー効果を利用した分布帰還導波路形全光ゲートスイッチを利用する。分布帰還導波路形全光ゲートスイッチは、広帯域な信号光波長に対して一定の変換効率をもつ。一方、変換波長の選択性が高いので、変換波長を可変するために、変換光源とゲートスイッチ波長変換器のペアを複数用意し、同一の信号光でこれらを選択的に動作させる方式を検討した。
この波長変換器に必要な素子として、バンドギャップ波長1430nmのGaInAsP導波層を有する分布帰還導波路形全光ゲートスイッチを試作し、信号光の波長依存性を測定し、1530nmから1565nmの広帯域な信号光に対して一定の波長変換効率を有することを明らかにした。また、信号光のピークパワー10dBmにおいて、得られた波長変換効率は-9dBであった。さらに、垂直回折格子を装荷したハイメサ導波路によって分布帰還導波路形全光ゲートスイッチを形成することによって偏波無依存な全光ゲートスイッチ動作が実現でき、これを用いることで偏波無依存な波長変換動作が実現できることも明らかにした。
【研究代表者】
【研究種目】基盤研究(C)
【研究期間】2001 - 2002
【配分額】3,500千円 (直接経費: 3,500千円)