顕微ラマン分光法による流体包有物一粒からの炭素同位体比測定法の開発
【研究分野】地球宇宙化学
【研究キーワード】
ラマン分光 / 炭素同位体組成 / 流体包有物 / 非破壊分析 / 顕微分光
【研究成果の概要】
昨年度までに、ラマン分光法によって二酸化炭素を主成分とする流体包有物のラマンスペクトルを顕微分光法によって精度よく測定する手法を確立した。本研究では炭素同位体比の測定を二酸化炭素のラマンスペクトルの形状解析から行う。また、既知の炭素同位体組成を持つ高密度な二酸化炭素流体を合成するラインを製作した。
酸化銅を酸化剤として、^<13>Cに富んだアモルファス炭素から同位体を濃縮した二酸化炭素を生成し、ボンベの二酸化炭素と混合し、任意の同位体組成をもつ二酸化炭素を生成することができるようになった。このラインは加圧により二酸化炭素流体を生成することができる。今年度は^<13>Cに富む二酸化炭素をライン中で生成し、まずは^<13>Cに富む二酸化炭素二酸化炭素のラマンスペクトルを測定し、これまで^<13>CO_2として帰属されていたラマンスペクトルの帰属が正しいか否かを確認することができた。また、サファイヤ窓付きのセルを製作し、生成した流体に2000気圧程度の高圧力をかけることができる装置の開発も行った。この装置を使用することによって、同位体組成の異なる二酸化炭素流体のラマンスペクトルを測定することに成功した。^<13>Cに起因する微小なラマンピークを数値演算によって切り出し、その強度を見積もる手法を見いだした。その結果、約20パーミル程度の精度でラマンスペクトルから二酸化炭素の炭素同位体比を測定できることがわかった。この精度は決して満足のいくものではないが、炭素が生物起源であるか地球内部起源であるかを区別するには十分の値である。今後は天然試料への適用を図る予定である。
【研究代表者】
【研究分担者】 |
山本 順司 | 京都大学 | 大学院・理学研究科 | 助手 | (Kakenデータベース) |
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【研究種目】萌芽研究
【研究期間】2004 - 2005
【配分額】3,500千円 (直接経費: 3,500千円)