高出力環境振動発電のためのグラフェンをドーピングした液晶のダイナミクスの解明
【研究キーワード】
液晶 / グラフェン / 環境発電 / エネルギーハーベスティング
【研究成果の概要】
2021年度は主に,大出力の環境発電デバイス実現に資するグラフェンと液晶のダイナミクスの解明のための、グラフェンを分散させたネマティック液晶コロイドの調製とその基礎的な物性評価について理論と実験の両面から検討を行った。
液晶の振動発電応用のためには、動作流体として液晶が流動するときの液晶材料の誘電特性を評価することが大きな課題である。この課題に関する主たる結果として,振動発電系を模擬した液晶セルを用いる誘電特性計測手法を提案し,評価用液晶セルを作成し、サイズや濃度、化学組成を変化させてグラフェンを分散させたネマチック液晶試料のインピーダンス変化の実験的な検証を行った。異方性誘電率や抵抗率を含む誘電特性に対する液晶サンプルの各々のパラメータの影響を計測することに成功し、提案する評価手法の有効性を示した。
また、磁場と電場を印加したときのグラフェンとネマチック液晶の分散系の流動時の誘電特性を解明するために、数理モデルを構築して数値解析を行った。初期的な解析結果として、外部振動と磁場を同時に印加しているときの、誘電性流体中に分散したグラフェンの反強磁性に起因する磁力とせん断流れによって生じる流体力の相互作用を明らかにした。解析結果の検証のための実験系の試作を進めている。
さらに、新規液晶を用いた環境発電デバイスについて米国の研究グループと共同で新しく取り組みを開始した。2022年度中頃までに初期的なコンセプト検証を終える予定である。
【研究代表者】
【研究種目】若手研究
【研究期間】2020-04-01 - 2024-03-31
【配分額】2,860千円 (直接経費: 2,200千円、間接経費: 660千円)