原子層レベルで制御された量子マイクロ構造に基づく高度機能光制御材料とその応用
【研究分野】電子材料工学
【研究キーワード】
結合量子井戸 / 放物線量子井戸 / 有効質量依存幅量子井戸 / 伸張歪み量子井戸 / 量子閉じ込めシュタルク効果 / 偏光無依存光変調 / 方向性結合器型光スイッチ / 光双安定素子 / 量子井戸 / ポテンシャル制御 / 伸張歪み / 放物線ポテンシャル / 偏光無依存 / 光変調 / スイッチ / 歪量子井戸 / 伸張歪 / 臨界膜厚 / X線回折 / 偏光無依存光スイッチング / 多重量子井戸 / 結合係数変調 / 分子線エピタキシ-(MBF) / 歪量子井戸・歪超格子 / 放物線型ポテンシャル / 電気光学効果 / 電界デカップリング効果 / 偏光無依存スイッチング
【研究成果の概要】
1.結合量子井戸の電気光学特性:薄い障壁を介して結合した二つの量子井戸からなるシステムにおける光電界吸収効果を研究し,光変調に有用な偏光特性が現れることを理論と実験の両面から明らかにした.また,結合量子井戸を利用したSEED光双安定素子を試作し,従来になく広い動作波長範囲(約15nm)と低いバイアス電圧(2V)を得ることに成功した.2.放物線量子井戸を用いた偏光無依存光変調:量子井戸を用いた光変調で問題となる,量子閉じ込めシュタルク効果(QCSE)の有効質量依存性を,量子井戸のポテンシャル形状を実効的に放物線形とすることで解消した.これを導波路型光変調器に導入し,QCSEに立脚した偏光無依存光変調を初めて実現した.3.有効質量依存幅量子井戸構造による偏光無依存光変調:成長が容易で,かつ特性が作製誤差にさほど敏感でない新たな偏光無依存量子井戸構造を考案した.これは,矩形量子井戸に薄い障壁を1ないし2組挿入し,井戸の実効幅が有効質量に依存するようにしたものである.理論解析,設計,試作を行い,偏光無依存動作波長範囲10nm,スイッチング電圧5Vにおける消光比最大-28dBなど,極めて良好な特性を得ることに成功した.4.GaAs基板上伸張歪み量子井戸の作製と応用:GaAs基板上に格子定数の大きいInAlAs基板を形成する方法を開発し,これを用いてGaAs基板上の伸張歪量子井戸を初めて実現した.これを利用して,偏光無依存光変調器を作製した.次に,上記伸張歪み量子井戸にポテンシャル制御構造を導入することにつき検討した.理論解析の結果,励起子吸収ピーク波長,シュタルクシフト量ともにそろった完全な偏光無依存性の得られることが予測された.5.量子井戸を用いた方向性結合器光スイッチ:新しい縦型構造の結合係数変調方式を提案,試作し,長さ138μmの素子においてスイッチング電圧5Vを得た.素子長・電圧積の値は,現在報告されている中で最小である.
【研究代表者】