対称性が破れた強誘電体リラクサー人工格子形成と脳型メモリ創成
【研究分野】電子・電気材料工学
【研究キーワード】
リラクサー / 人工格子 / スピングラス / スピネル / ガーネット / 精密結晶構造解析 / MEM / 秩序-無秩序 / 双極子グラス
【研究成果の概要】
物性“ゆらぎ"の1現象であるスピングラスは、隣り合うスピンを並行に揃えようとする強磁性相互作用と、反並行に揃えようとする反強磁性相互作用が混在した状態、つまり、“フラストレーション"と“ランダムネス"とが競合した際に生じる興味深いスピン状態である。前述したように、スピネル型結晶構造を持つフェライト化合物(FeO){Fe_2O_3}を薄膜化することにより、室温を超える高い温度でのクラスター(スピングラス)グラス材料の合成に成功した。ホップフィールドによればスピングラスを示すハミルトニアンが、脳シナプスにおける情報伝達モデルと同値とされており、スピングラスを利用した脳型素子が期待される。一方、双極子“ゆらぎ"についても、人工格子技術を用いたペロブスカイト型酸化物において、双極子グラスとも言うべきリラクサー材料を対象として、双極子ゆらぎを人工的に制御することに成功している。さらにスピン秩序と双極子秩序を併せ持つ物質(マルチフェロ材料)を、ガーネット型フェライトにおいて実現し、これをトンネルバリアとして、スピングラスと強磁性金属によりサンドイッチしたスピンTMR素子は、スピンフィルタ機能を有すると共に、外場により強誘電性による双安定ポテンシャルおよび、強磁性によるゼーマン項を利用する事で多値論理回路への適応が可能となると思われる。このように、スピンおよび双極子の協調現象および“ゆらぎ"機能を利用する事で、新しい光エレクトロニクスが期待される。
【研究代表者】
【研究分担者】 |
佐伯 洋昌 | 大阪大学 | 産業科学研究所 | 助手 | (Kakenデータベース) |
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【研究種目】基盤研究(B)
【研究期間】2004 - 2006
【配分額】14,500千円 (直接経費: 14,500千円)