フォトクロミック・ダイとUVレーザを用いた熱流体場の定量的可視化と画像処理
【研究分野】熱工学
【研究キーワード】
フォトクロミック・ダイ / 流れの可視化 / 画像処理 / 紫外線レーザー / 表面張力
【研究成果の概要】
気液界面での液体の温度および濃度勾配による表面張力変化は表面の流れ場に大きな影響を与え、マランゴニ対流を引き起こす。しかし、その表面張力変化は非常に微小であり、表面張力自身の測定は困難である。そこで、本研究では、定性的な流れの可視化とともに、流速・温度分布などと言った定量的なものについても非接触に測定可能なフォトクロミック染料活性化法という方法を用い、表面近傍の流れ場を可能化し、得られた表面近傍の速度分布をもとに表面速度勾配を求め、せん断力と表面張力の釣り合いの式から、表面張力の変化率を求めることを試みた。
本研究で取り扱う流れ場は、壁面を加熱・冷却した、自由表面を持つ2次元キャビティ流れとし、作動流体としてケロシンを使用した。染料には、紫外線の照射により励起され発色し、さらに発色後、分子の熱運動により自然消色し、元の状態に戻る、スピロピラン系染料を用いた。光学系には、UV(紫外線)パルス・レーザ(窒素レーザーおよびXeClエキシマレーザー)を染料の励起に使用し、それによって形成された発色ラインを、高解像度の3CCDカメラにより撮影された画像データを画像処理することによってトレースすることにより、自由表面付近の速度測定を行い、表面張力変化を求めた。その結果、流体中に存在する汚染物質によるわずかな表面張力変化によっても自由表面の流れがせき止められ、流れ場に非常に大きな影響を与えることが判明した。なお、このフォトクロミック染料活性化法は、レーザーにより励起され発色し、一定時間後に消色する非接触な速度計測法であり、流れ場に与える影響が少ないという利点があり、今後とも非常に有益な計測方法であることも付け加えておく。
【研究代表者】
【研究種目】奨励研究(A)
【研究期間】1994
【配分額】1,100千円 (直接経費: 1,100千円)