非対称構造半導体量子井戸の2次非線形光学特性の研究
【研究分野】応用光学・量子光工学
【研究キーワード】
非線形光学 / 波長変換 / 光第2高調波発生 / 差周波発生 / 半導体量子井戸 / 非対称構造 / 励起子共鳴
【研究成果の概要】
1.参照用試料(GaAs)の評価
AlGaAs量子井戸の非線形光学特性の評価時に用いるGaAsの非線形光学定数の絶対値を最初に測定した。発振波長1.533μmのDFBレーザを基本波光源としてSHG法によって絶対測定をおこない,d_<36>=119pm/Vという結果を得た。
2.電場印加AlGaAs量子井戸の評価
バルクGaAsとのSHG相対測定によって電場印加AlGaAs非対称量子井戸の非線形光学定数の測定をおこなった。測定に用いた試料はGaAs(100)基板上に成長した多重量子井戸で,Al_<0.18>Ga_<0.82>As井戸層(井戸幅10nm)とAl_<0.30>Ga_<0.70>As障壁層(障壁層幅5nm)とを47周期積層したものである。基本波光源としてFP型GaInAsPレーザにグレーティングフィードバックをかけた外部共振器型の波長可変半導体レーザを用いて,励起子順位からのdetuning(ΔE=E_<ex>-2hw)と試料に印加する電場(E_<bias>)とをパラメータとして測定をおこなった。測定の結果,ΔE=9.9meV,E_<bias>=59kV/cmで最大d_<15>=16pm/Vというかなり大きな値が得られた。しかしながら,これは単一量子井戸についておこなわれた理論計算の結果(d_<15>=60pm/V)よりも小さく,理論計算で無視していた井戸間の相互作用が影響しているものと考えられる。
以上の研究を通じて、非対称構造半導体量子井戸の近赤外域での2次非線形光学特性を初めて定量的に評価することができた。今後は,光通信への応用を念頭に置いて差周波発生の実験をおこなっていきたいと考えている。
【研究代表者】
【研究分担者】 |
矢口 裕之 | 東京大学 | 大学院・工学系研究科 | 助手 | (Kakenデータベース) |
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【研究種目】基盤研究(C)
【研究期間】1996
【配分額】2,200千円 (直接経費: 2,200千円)