ナノ空間の高電界を利用した非線形電気インピーダンス応答による細菌1粒子センシング
【研究キーワード】
ナノポア / インピーダンス / ウイルス / バクテリア / ナノデバイス / センサ / 交流 / 機械学習 / 超微少電流 / 細菌1粒子センシング / ウイルス1粒子センシング / 感染回避 / 電気インピーダンス計測 / ナノ流体デバイス / 細菌1細胞解析 / ウイルス1粒子解析 / 電気インピーダンス / 誘電泳動 / ナノ電極 / ナノ流体システム / バイオセンサ / 細菌 / 感染症予防
【研究成果の概要】
これまでも度々問題になっていた現象であるが,バクテリア計測時はバッファである生理食塩水の塩濃度が高く導電率も高いため,高電界を印加すると電極エッジ部分に電界が集中して電極反応により電極が電気分解する問題が顕著になった。そこで電極の保護のため,デバイス形状の大幅な見直しを行った。具体的には,これまでのデザインとは逆に電極のエッジは使わずに電極面積をなるべく大きく使うように測定セルの形状を変更した。さらに電極間に仕切り板を設け,その中央部の一点のみに直径数100nmから数umの孔(ナノポア)を作製し,電極から出た電気力線をナノポア内に集中させることで高電場を生ぜしめ,ナノポア内のみを高電界の測定空間とする工夫をした。また,仕切り板部分の厚みが薄いと,この部分の電気容量が大きくなりカットオフ周波数が低下するため,膜部分は25umと比較的厚くすることでカットオフ周波数を10kHz以上に設定した。このデバイスを用いて高電界インピーダンス測定をしたところ,乳酸菌,大腸菌それぞれの単一バクテリア由来の信号を数100pAレベルで計測することに成功し,単一バクテリア計測の実証に成功した。さらに得られた電流波形に対して,k-近傍法,ロジスティック回帰,ベクトルサポートマシン,ランダムフォレストなどの基本的な機械学習アルゴリズム4種を適用してバクテリアの種類の同定性能を評価した。測定データはアンダーサンプリングにてデータ数を揃え,各学習モデルに対して5分割交差検証で評価した。その結果,最も良い正解率を出したのはランダムフォレストで,乳酸菌,大腸菌,ポリスチレン粒子の3種類からのそれぞれの粒子同定の正解率は87.7%に達した。以上,当初の実験計画の目標である,高電界インピーダンス測定法による単一バクテリア測定の実証,および機械学習を利用したバクテリアの同定を達成することができた。
【研究代表者】
【研究種目】基盤研究(B)
【研究期間】2020-04-01 - 2023-03-31
【配分額】17,940千円 (直接経費: 13,800千円、間接経費: 4,140千円)