光励起超音波による高機能診断のための造影剤評価プラットフォームの構築
【研究キーワード】
超音波 / 光超音波 / 造影剤 / イメージング / 光音響 / レーザ / 半導体レーザ / 変調光 / 診断装置 / 強度変調
【研究成果の概要】
本研究では、医用超音波画像技術のひとつである光超音波イメージングにおいて今後の利用拡大が見込まれる専用造影剤について、その性能を定量的に評価する装置の開発を行うことを目的としている。2つの異なった評価装置の開発を進めている。
その一つとして、振幅変調した連続光を用いることで低い尖頭光パワーで評価を安定に行うことをめざし、半導体レーザ光源と音響共鳴を利用した高感度検出系を考案している。今年度は、これまでの研究期間で開発した装置について周波数掃引法を適用するなど、測定時間の短縮と使いやすさの向上のための改良を行った。
二つ目の方式として、実際のイメージング装置に近いパルス光とMHz帯超音波トランスデューサによる評価装置を検討した。これは、人体模擬ファントムに血管を想定した直径1 mm以下の透明細管を埋め込み、その中に評価する試料造影剤を充填する構造のものである。試料入り細管に光パルス照射を行い、超音波トランスデューサで受信する。半導体レーザとパルス駆動回路を用いてピーク光パワー1 W程度のパルス光を発生させ、パルス幅を15~129 nsの範囲で可変として実験を行った。受信には中心周波数5 MHzまたは10 MHzの非破壊検査用圧電トランスデューサを用いた。その結果、内径が1 mm以下のガラスキャピラリでは管内音響モードが励振されて、管径に応じて感度の高くなる光パルス幅が存在することが実験的に示された。管内音場モードの理論から、どのパルス幅でどのモードが励振されやすいのかが説明できた。また、シリコンチューブなどの柔らかい細管を用いると、周囲ファントムとの音響インピーダンスの差が小さいため音場の閉じ込めが起きにくく、はっきりした共振特性が現れにくいことを実験的に明らかにした。また、その際にはガラスキャピラリよりも光音響信号のレベルが数分の1以下になることを示した。
【研究代表者】
【研究種目】基盤研究(B)
【研究期間】2018-04-01 - 2023-03-31
【配分額】16,510千円 (直接経費: 12,700千円、間接経費: 3,810千円)