CVD法による高融点金属の表面改質と超高温耐酸化性
【研究分野】金属材料
【研究キーワード】
CVD / パックセメンテ-ション / シリコナイジング / アルミナイジング / モリブデン / 高温酸化 / Mo_3Al_8 / CVD法 / 高融点金属 / 高温耐酸化性 / アルミナイド / Mo-Al-Si / 状態図
【研究成果の概要】
エネルギ-関連および宇宙開発の分野では超耐熱,高強度材料の開発が望まれている.金属材料の耐酸化性は表面にAl_2O_3,Cr_2O_3およびSiO_2などの保護皮膜を生成させることにより得られる.高温高強度材料として基本的に最も有望なものは,W,MoおよびTaなどの高融点金属である.しかし,高温ではこれらの金属は酸化が激しく,とくにWおよびMoの酸化物は蒸気圧が高く,耐酸化性に乏しい.本研究ではMo表面にCVD法によりアルミ化物またはケイ化物を形成し,その耐酸化性向上に関わる機構を明らかにし,超高温金属料の開発を目的として行った.
パックセメンテ-ションによりモリブデン板上へのSiーAl二段コ-ティングコ-ティングを施し,その高温酸化挙動を調べた.その結果,二段コ-ティング法をにより生成するMo_3Al_8層は約1at.%のSiを固溶しており,Al単独コ-ティングによって得られるMo_3Al_8に比較して亀裂の生成が抑制されており,耐酸化性が著しく向上し酸化による質量変化が極めて小さいことを明らかにした.また,SiーAl二段コ-ティングによって生成した,Mo_3Al_8中には表面にMo(Si,Al)_2が,Mo基板の近傍にはMo_5(Si,Al)_3が折出していることを見いだした.さらに,コ-ティング膜断面についてビッカ-ス試験を行った結果,SiーAl二段コ-ティングによって生成した,Mo_3Al_8は亀裂の導入量が少なく,生ずる亀裂も膜面に平行に進展することが明らかとなった.ついで,MoーAlーSi系状態図を1323Kで作成した.その結果をもとに,コ-ティング膜の酸化前後の組織を熱力学的に説明した.これらの結果から,より高温ではMo(Si,Al)_2が有望な耐酸化性材料であるという示唆を得た.
【研究代表者】
【研究分担者】 |
須伊 匡裕 (須佐 匡裕) | 東京大学 | 工学部 | 助手 | (Kakenデータベース) |
永田 和宏 | 東京工業大学 | 工学部 | 助教授 | (Kakenデータベース) |
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【研究種目】一般研究(B)
【研究期間】1989 - 1990
【配分額】6,400千円 (直接経費: 6,400千円)