蒸着重合法による高分子単分子薄膜の作成に関する研究
【研究分野】高分子合成
【研究キーワード】
蒸着 / 重合 / 薄膜 / 垂直配列 / ポリアミド酸 / ポリイミド
【研究成果の概要】
蒸着重合法を用いて脂肪族系および芳香族系ポリアミド薄膜を作成し、その薄膜形成時にける蒸着条件(蒸着速度、基板温度など)の影響を詳しく検討した。蒸着重合における分子配列機構を検討するために、脂肪族ジアミン(1.7-ジアミノヘプタン(DAH))とジカルボン酸クロリド(アゼライン酸クロリド(ADC))を交互に蒸着させて、各モノマーの付着挙動を水晶振動子の周波数変化によって測定した。作成した薄膜の構造は赤外吸収スペクトルおよびX線回折により評価し、形状膜厚は多重反射干渉法により測定した。ADC上に吸着したDAH分子は、数秒後に一定量に達し平衡状態となるが、蒸着を停止すると一部が再蒸発した。このことから、まずADC表面上にDAH単分子層が付着し分子鎖末端間で縮合反応が起こり、さらにその上にDAHが物理的に吸着しているものと考えられる。また各モノマーを交互に蒸着することにより膜厚が階段上に増加し、化合物半導体の代表例であるGaAs等の超格子薄膜と同様な機構で成長していることが推測された。また蒸着重合時の分子配列に対する電場の効果を調べるために、基板面内方向の電場下でポリアミド薄膜を作成し、垂直透過のSH強度を観察した。基本波(Nd:YAG1064nm)と第2次高調波の偏光方向を平行にした測定では、蒸着時の電場とSHの電場が平行な場合にSH強度が最大となり、ポリアミド分子中の双極子が蒸着重合過程において電場方向に配向していることがわかった。
【研究代表者】
【研究種目】一般研究(B)
【研究期間】1991 - 1992
【配分額】6,000千円 (直接経費: 6,000千円)