ペロブスカイト構造を基本とする酸化物人工超格子の原子層エピタキシ-と物性評価
【研究分野】無機材料・物性
【研究キーワード】
ペロブスカイト構造 / 人工超格子 / 分子線エピタキシ- / 誘電性 / イオンビーム / 原子層エピタキシ- / バンド計算 / ペロブスカイト型化合物 / 強誘電体 / 結晶構造解析 / MBE
【研究成果の概要】
本研究では、ペロブスカイト型構造を有するチタン酸バリウム-チタン酸ストロンチウムの人工超格子の作製技術を確立し、その構造解析を行うとともに物性評価に関する検討を行った。得られた研究成果を以下に要約する。
1)分子線ビームエピタキシ-法による人工超格子の作製システムを用いて、原子層を1層1層積み重ねる原子層エピタキシ-によりチタン酸バリウムとチタン酸ストロンチウムの人工超格子を作製した。
2)X線を用いた超格子構造の解析手法を確立した。すなわち、任意の積層様式と膜厚を有する人工超格子のX線回折パターンを計算するソフトウェアーを開発し、計算値と実測値の比較を行った。その結果、異種格子間での構成成分のわずかな拡散を考慮すると両者が非常に良く一致することを見いだした。
3)チタン酸バリウムの低温成膜を試み、成膜中に低エネルギーの酸素イオンを照射することで、400℃という低温でもエピタキシャル成長が可能なことを見出した。
4)導電性のチタン酸ストロンチウム基板の上に人工超格子を作製し、導電性基板を下部電極として電気特性の評価を行った。その結果、化学組成と膜厚は同じでも超格子の構造が異なると誘電特性が異なり、単位格子を5ユニットづつ交互に積み重ねた場合、他の試料に比べ誘電率が非常に高くなることを明らかにした。
【研究代表者】