レーザー誘起衝撃波による炭素新相の探索
【研究分野】無機材料・物性
【研究キーワード】
レーザー衝撃圧縮 / 炭素新相 / フラーレン / 衝撃波 / 非晶質ダイヤモンド / ナノクリスタリンダイヤモンド / 赤外線温度計 / 衝撃温度 / レーザー衝撃 / 高強度レーザー / 超高速 / 衝撃圧縮 / 超高圧力 / 超高温 / 炭素 / 新相 / レーザー衝撃圧力
【研究成果の概要】
本研究は3年間亙って実施し、3J-YAGレーザーの試料表面の微小面積(直径0.5mm)に集中して直接照射することによって衝撃波を発生させる技術を開発した。また、その反作用によって金属箔飛翔板を加速し、0.1mm程度の微小距離を飛翔させて試料に衝突させることによって衝撃超高圧力を発生させる技術を確立した。それらの衝撃波速度と物質速度の測定を行うことができるレーザー干渉計を作成し、飛翔板加速のレーザ衝撃実験を行った。その結果、レーザービームのエネルギー分布に伴う飛翔板の変形が見られ、一様な平面衝撃波を得るためにはレーザーのプロファイル制御が必要であることが分かった。また、ダイヤモンド合成が可能となる50GPa以上の圧力を得るためには照射直径を0.1mm以下にする必要があり、解析に有効な試料量を得るためにもプロファイル制御が必要であることが分かった。これらのレーザー衝撃圧縮状態は、有限差分法ハイドロコードを用いた時間・空間分解型のシミュレーションと良く一致しており、テーブルトップレーザー誘起衝撃圧縮法の設計が可能となった。
現状装置により、C_<60>フラーレン蒸着膜を10GPa以下の圧力でレーザー衝撃圧縮して回収し、そのラマン散乱スペクトルを調べたところ、フラーレン分子が重合したと見られるピークが観測された。従来法と比較して試料の回収が極めて容易であり、一枚の箔状試料に対して多くの衝撃条件を変化させた微小な試料を一度に作成することが可能となり、本方法は高効率物質探索の技術といえる。
一方、従来の衝撃銃による条件との比較のために10μm帯の赤外域衝撃温度測定装置および1μm帯と可視域衝撃温度測定装置を作成し、四塩化炭素液体試料の衝撃温度測定に応用して装置の検証を行った結果、ルミネッセンスなどの擾乱が少ない衝撃温度計となることが分かった。しかし、発光面積が小さいために、レーザー衝撃法に適用するには感度が不充分であることが判明した。また、衝撃銃による衝撃圧縮凍結法では、透明非晶質ダイヤモンドと透明ナノ組織ダイヤモンドの存在が明らかとなり、両者の作り分けのためには、衝撃圧縮状態の一層精密な制御が必要であることが分かった。
以上のように、本研究は所期の目的をほぼ達成することができたといえ、炭素新相探索の方法論が確立された。
【研究代表者】
【研究分担者】 |
八木 寿子 (平井 寿子) | Tokyo Institute of Technology, Materials and Structures Laboratory, Research Aso | (Kakenデータベース) |
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【研究種目】基盤研究(A)
【研究期間】1996 - 1998
【配分額】31,800千円 (直接経費: 31,800千円)