共有性配位結合を持つ遷移金属錯体の物性と反応性
【研究分野】無機・錯塩・放射化学
【研究キーワード】
共有結合 / 配位結合 / 遷移金属 / 金属ー配位子結合 / 反応性 / 物性 / 金属-配位子結合 / 共有性配位結合 / 金属錯体 / 錯体の物性 / 錯体の反応性
【研究成果の概要】
金属錯体の化学では配位結合の共有性が最も基本的な問題である。
共有結合性の程度は種々のファクタ-によって増減するが、金属中心の電子構造、配位原子との電気陰性度のちがい、更に配位立体化学的特徴などが主である。この様な多面的な課題であるため、総合的な研究が必要であり、19名の錯体化学者によって研究を行った。
各種の錯体の基礎的研究が共有性という点から、改めて検討されるためには、専門を異にする多くの研究者が集まり、各自の考えを発表し、討論することが重要である。従って2回のワ-クショップと2回のシンポジウムが2年間に行われた。各々の会合は、30〜40名の出席を得て活発に行われ、外国人研究者もかなりの数が参加した。
これらの会合でとり上げられた主題は、多岐にわたるが、特に金属同士が結合したクラスタ-化合物、独特の結合を持つ有機金属化合物、マクロサイクル錯体が、その中心となっていた。これらの化合物では、配位結合での共有結合性が、大きく、その性格もいろいろなファクタ-で変化する事が、長時間におよぶ議論の末、結論として得られた。
この様に基本的な化学結合について深く考え、新しい考え方へ導かれ総合的に理解が進んだ事が、最大の成果と言える。今後、錯体の多様性という点で、益々総合的に理解することが、むずかしくなって来るので、現時点で、総合的な理解を得ることは極めて重要と思われる。
【研究代表者】