微視的多極子の秩序による創発スピン軌道物性の開拓
【研究キーワード】
拡張多極子 / スピン軌道物性 / 完全基底 / 交差相関応答 / 機械学習 / 異常ホール効果 / 多極子 / 奇パリティ多極子 / 創発スピン軌道相互作用 / トロイダル秩序 / 電流磁気応答 / スピン軌道相互作用
【研究成果の概要】
固体結晶中の多様な電子自由度を多極子の自由度を用いて整理することで、交差相関物性を系統的に理解する試みにおいて、電子系のハミルトニアンを多極子基底で展開する一般的手法を開発した。また、線形及び非線形応答において、その発現に必須のモデルパラメータを系統的に特定する手法を開発し、多極子基底で表したハミルトニアンと併用して、各種物性応答の微視的起源を明らかにする一般的な処方箋を与えた。これらは既に論文として出版と投稿を済ませており、前者はJPSJのEditors' Choiceに選ばれている。
これら一連の成果により、電子ハミルトニアンを多極子基底をビルディングブロックとして構築する方法論が確立し、スピン軌道物性を示す物質の微視的な視点からの系統的な解析と予測が可能になった。一連の方法をカイラル物質の典型であるTeに適用して、カイラリティを支配するミクロな電子自由度を特定して、その解析から、電場と格子回転のような極性と軸性を変換する応答現象を見出した。カイラル物質に一般的に存在する電子自由度と外場との結合様式の解析から、カイラリティの右手系、左手系を作り分けるための実験手法を提案した。これらの内容は論文として投稿しており、作り分けの提案については特許を出願している。
以上のように、多極子完全基底を用いた方法は固体中の自由度を対称性に従って系統的に分類できるため、電子間相互作用、交換相互作用、電子格子相互作用などのハミルトニアンに対しても適用でき、物性開拓をすすめる上で新しい方法論を提供すると期待される。
【研究代表者】
【研究分担者】 |
速水 賢 | 東京大学 | 大学院工学系研究科(工学部) | 講師 | (Kakenデータベース) |
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【研究種目】基盤研究(C)
【研究期間】2019-04-01 - 2023-03-31
【配分額】4,420千円 (直接経費: 3,400千円、間接経費: 1,020千円)