薄肉断面部材の衝撃圧潰によるエネルギー吸収特性
【研究分野】機械材料・材料力学
【研究キーワード】
薄肉断面部材 / 衝撃圧潰 / エネルギー吸収 / 落錘試験 / 複合材料 / 計測システム / 温度依存性 / 相似形状依存性
【研究成果の概要】
本研究では,静荷重に対する評価手法に基づき,塑性関節における動的効果を実験的に求めることにより,薄肉管の衝撃軸圧潰特性を評価する手法を提案した.すなわち,塑性関節における動的効果にあらかじめ著者らによって行われた板材の衝撃三点曲げ試験の結果から得られた塑性関節における,曲げ角速度に対する全塑性曲げモーメントの構成式を用いた.そして,この解析結果と実験結果との比較を行うことにより,本解析法の妥当性を確認した.
その結果,数値計算された衝撃軸圧潰による変形量あるいは平均圧潰荷重は,実験結果とほぼ一致し,本解析法の妥当性が確認できた.しかし円管の軸対称変形では圧潰周期を理論的に決定することができたが,正方形管ではそれらを決定することができなかった.そこで実験より得られた圧潰周期の値を用いて衝撃圧漬による最終変形量等を予測することにした.このような今後解決すべき問題点はあったものの,全体としては,軸圧潰のような曲げ変形が支配的な現象に対して,引張試験による構成式を用いずに,直接塑性関節おける曲げ角速度と全塑性曲げモーメントとの構成式を使用した試みは有効であった.
また,比強度および比剛性の優れた炭素繊維と,成形時の熱収縮が比較的小さく炭素繊維との界面強度に優れたエポキシ樹脂の組み合わせでエネルギー吸収部材としての可能性とその温度依存性について検討した.また,衝撃時の荷重を計測するための軟鋼製ロードセルの設計と作成を行い,高精度な計測を実現させた.
その結果,衝撃吸収材料としてのCFRPは,繊維配向を適当に配置することにより,吸収エネルギーの絶対量は劣るが単位質量あたりではアルミニウムよりも優れた面を持っていることが明らかになった.また荷重計測用のロードセルの形状を変形することにより良好な動特性が得られた.さらに,時間(速度)温度換算則が近似的に適用できることが明らかになった.
【研究代表者】
【研究分担者】 |
ナッシュ デビッド | ストラスクライド大学 | 機械工学科 | 講師 |
バンクス ウィリアム | ストラスクライド大学 | 機械工学科 | 教授 |
ローズ ジェイムズ | ストラスクライド大学 | 機械工学科 | 教授 |
スペンス ジョン | ストラスクライド大学 | 機械工学科 | 教授 |
伊能 教夫 | 東京工業大学 | 大学院・情報処理工学研究科 | 助教授 | (Kakenデータベース) |
RHODES James | University of Strathclyde, Department of Mechanical Engineering, Professor |
NASH David | University of Strathclyde, Department of Mechanical Engineering, Lecturer |
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【研究種目】国際学術研究
【研究期間】1996 - 1998
【配分額】2,700千円 (直接経費: 2,700千円)