光ファイバーを利用した高分子材料の腐食モニタリング
【研究分野】材料加工・処理
【研究キーワード】
光ファイバー / センサー / エポキシ樹脂 / pH指示薬 / BTB / BPB / フェノールフタレイン / メチルレッド / メチルオレンジ
【研究成果の概要】
本研究では、酸及びアルカリ水溶液の樹脂中への浸入を検知するセンサの開発を行うことを目的としている。
指示薬としてBTB及びBPBを用い、樹脂にはアミン硬化エポキシ樹脂を用いた。
初年度にはpH指示薬添加樹脂の硫酸環境下における呈色を検討した。BTBは硫酸及び水で呈色するのに対し、BPBでは硫酸による変色のみが認められた。硫酸環境に曝露したBTB添加試験片の断面を観察した結果、接液側に形成される層状の変色部分以外に、内側にもグラデーション状の変色が見られた。硫酸浸入層の内側に水が浸入していると予想され、S元素マッピング及び水分分析によりその予測が正しいことを確認した。従来の研究による"水は溶質よりも早く浸入する"事の可視化に初めて成功した。
次年度〜最終年度には材料中への環境液浸入の影響が大きい有機酸について検討し、さらにFRP内に埋設できる薄型センサの作製を行った。pH指示薬添加試験片を作製し、クロロ酢酸を用いて浸せき試験を行った。BTB、BPB共に変色が見られ、可視光スペクトルでも450〜500nm付近の透過率の減少及び600nm付近の透過率の増加が観察された。
次にFRP積層間への適用を目指した薄型光ファイバーセンサの作製を行った。ビニルエステル樹脂を含浸させたガラスクロスにてプラスチック製光ファイバーを挟み、硬化させた後光ファイバーにスリットを入れた。スリット部分にpH指示薬添加エポキシ樹脂を流し込み、硬化させてセンサモジュールとした。このセンサモジュールをエポキシ樹脂-ガラスマットFRP中に埋設してクロロ酢酸に対する片面浸せきを行い、光ファイバーを透過する光をモニタリングした。
BTBを用いたセンサでは500nm付近の透過率減少が観察されたのみであるが、BPBを用いたセンサではそれに加えて600nm付近の透過率増加が明確に認められ、より高い信頼性が得られると判断される。
【研究代表者】
【研究分担者】 |
津田 健 | 東京工業大学 | 大学院・理工学研究科 | 教授 | (Kakenデータベース) |
冨山 禎仁 | 独立行政法人 | 土木研究所 | 研究員 | (Kakenデータベース) |
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【研究種目】基盤研究(B)
【研究期間】2004 - 2006
【配分額】15,200千円 (直接経費: 15,200千円)