超々臨界火力発電用鉄-クロム合金の水蒸気酸化機構と保護性酸化皮膜の剥離の抑制
【研究分野】材料加工・処理
【研究キーワード】
水蒸気酸化 / 鉄-クロム合金 / 過熱器 / 保護性酸化皮膜 / 内部酸化層 / ボイド生成 / 化学ポテンシャル分布 / 剥離 / 高温水蒸気酸化 / Fe-Cr合金 / ポテンシャル分布 / マグネタイト / ボイド形成 / フェライト鋼 / 非晶質SiO_2 / 鉄-クロムスピネル / フェライト系Cr鋼 / 酸化機構 / プロトン / Fe_3O_4 / (Fe,Cr)_3O_4
【研究成果の概要】
Fe-Cr系の合金は火力発電用のボイラー材料として長年使用されており、実機による多くのデータが集積されているが、その水蒸気酸化機構は未だ不明であり、実操業上の問題である酸化皮膜の剥離性についての解明が急務である。発電効率の向上の観点から超々臨界火力発電が期待されているなか、本研究は水蒸気酸化機構の解明と保護性酸化皮膜の剥離の抑制について研究したものである。本研究では酸化初期からの皮膜組織の形成過程を、詳細に検討し、皮膜の成長過程を明らかにした。また、皮膜酸化物層には剥離を支配する多くのボイドが存在するが、酸化過程における皮膜中の化学ポテンシャル分布を予測して、物質収支の観点からボイド形成を取り扱えることを提案した。さらに,水蒸気酸化固有の問題として,水蒸気から酸化皮膜中に非平衡的にプロトンが溶解し,これが組織形成,特にボイドの形成に大きく影響していることを示唆した。プロトンの溶解量や透過速度に関する定量的な研究は、研究手法は確立したものの、時間的な制約から十分な量の結果を得るには至らず、今後の課題として継続中である。
【研究代表者】