クロム系硬質薄膜の合成と切削工具、摺動部材および精密金型への応用
【研究分野】材料加工・処理
【研究キーワード】
ナノ材料 / 機械材料・材料力学 / 表面・界面物性 / 材料加工・処理 / 界面 / 環境材料 / 窒化物薄膜 / 機能性薄膜 / 相転移 / 微細組織制御 / 固溶限界 / PVD法
【研究成果の概要】
本年度は最終年度であり,4元系窒化物を作製し,その評価を実施した.本研究の最終目的はクロム系薄膜にAl添加し,現在使用されているTi系窒化物薄膜を凌駕できるかを明らかにし,実用化研究への指針を示すことである.さらに本研究で得られた最良のCrl-xAlxN膜に少量のTiを添加した(Ti, Cr, Al, Si)N薄膜においては,Al含有量の増加に伴い,結晶構造が変化し,Al55at.%以下では立方晶単相を示した.また,Al58at.%以上ではAl含有量の増加に伴い立方・六方晶の混合相から六方晶単相へ結晶構造変化を起こした.
(Ti, Cr, Al, Si)N薄膜の微小硬度は,結晶構造と関係があり,立方晶と六方晶とでは比較的,立方晶で高硬度が得られた.また,Al44.0at.%で最大硬さ31.0GPaとなった後,Al含有量の増加に伴い微小硬度が26.0GPaまで低下した.TEM観察で,立方晶(Ti, Cr, Al, Si)Nの結晶粒が5-10nm程度に微細化されており,それに対し,六方晶の(Ti, Cr, Al, Si)Nは50-200nmで粗大であることが確認された.
以上より,(Ti, Al)NにSiおよびCr元素を添加することにより,(Ti, Al)Nを凌駕するセラミックス薄膜が得られた.また,熱安定性と耐酸化性を向上させるのに,Si添加が効果的であることが明らかとなった.
【研究代表者】
【研究分担者】 |
野口 裕久 | 慶應義塾大学 | 理工学部 | 教授 | (Kakenデータベース) |
小茂鳥 潤 | 慶應義塾大学 | 理工学部 | 助教授 | (Kakenデータベース) |
幾原 雄一 | 東京大学 | 大学院・理工学研究科・総合研究機構 | 教授 | (Kakenデータベース) |
橋本 綾子 | 独立行政法人 | 産業技術総合研究所・新炭素センタ | 研究員 |
西山 昭雄 | 三菱マテリアル株式会社 | 総合研究所 | 部長 |
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【研究種目】基盤研究(B)
【研究期間】2004 - 2006
【配分額】14,500千円 (直接経費: 14,500千円)