高分子膜を用いた気体分離過程の分子論的解明
【研究キーワード】
高分子気体分離膜 / 有機・無機ハイブリッド膜 / 固有微細孔性高分子 / シリカ / 二酸化炭素 / 溶解度係数 / 拡散係数 / 分子シミュレーション / 分子動力学シミュレーション / モンテカルロシミュレーション / 溶解・拡散モデル / 溶解・拡散機構
【研究成果の概要】
本研究では,分子シミュレーションを用いて,高分子気体分離膜内における気体の溶解・拡散過程を解析した.具体的には,固有微細孔性高分子の一つであるPIM-1と,PIM-1/シリカから成る有機・無機ハイブリッド膜を対象とし,膜内における二酸化炭素,メタン,窒素の溶解・拡散挙動を解析した.その結果,PIM-1/シリカ界面近傍に多くの気体分子が溶解し,溶解度係数が増加することが分かった.また,シリカが存在することで,分子鎖のパッキングが阻害され,メタン・窒素の拡散係数は増加する一方,シリカ表面のヒドロキシ基の影響で,二酸化炭素の拡散係数は低下することが分かった.
【研究の社会的意義】
有機・無機ハイブリッド膜は,二酸化炭素の高透過性・高選択性を両立できる気体分離膜として,大きな注目を集めている.有機・無機ハイブリッド膜では,ポリマーと無機粒子の界面近傍における気体の溶解・拡散挙動が分離性能に大きな影響を与えるが,界面近傍の現象を実験的に詳細に捉えるのは容易ではない.本研究では,分子シミュレーションを用いることで,固有微細孔性高分子/シリカ界面における気体の溶解・拡散挙動を解明することに成功した.本研究成果は,有機/無機界面系における気体の溶解・拡散過程に関する基礎的知見を与えるものであり,種々の有機・無機ハイブリッド膜の解析に応用できるものと期待される.
【研究代表者】
【研究種目】若手研究
【研究期間】2020-04-01 - 2022-03-31
【配分額】4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)