CO_2循環石炭燃焼における極低NOx化機構と高効率炉内脱硫
【研究分野】熱工学
【研究キーワード】
石炭燃焼 / 地球環境 / 二酸化炭素 / 窒素酸化物 / 低NOx燃焼 / 炉内脱硫 / 排ガス循環 / 低NO_x燃焼
【研究成果の概要】
CO_2循環石炭燃焼では純酸素/再循環ガスの雰囲気中で石炭を燃焼させることで、分離過程を経ることなくCO_2を直接回収できる。さらに、NOxの排出量が空気燃焼時に比べ1/4〜1/6に大幅に低下するとともに、従来は微粉炭燃焼では不可能だった高効率炉内脱硫も可能となることが期待されている。本研究は、CO_2回収、極低NOx化、高効率炉内脱硫を同時に実現する、新しい環境保全型石炭燃焼システムの基礎を確立することにある。
平成9年度は、自動極低NOx化機構に重点をおいて、実験的、理論的に詳細な検討を行い、再循環ガス中のNOxが火炎場に再流入して積極的還元を受ける機構が支配的であることを明らかにした。
平成10年度は、炉内高効率脱硫機構に関して、1. 燃焼炉内のCO_2濃度増加による脱硫剤粒子の反応性への影響、2. 再循環ガス中に含まれるSO_2が燃焼炉内に再流入することによるSO_2高濃度化の影響を考慮した。これらが高効率炉内脱硫に及ぼす影響を分離して検討するため、循環炉を用いず、流通式反応器、固定層反応器を用いて実験を行うとともに、脱硫剤粒子の反応モデルと実験結果と組み合わせることにより脱硫剤粒子のCaSO_4への転換率を見積もり、さらにその結果をもとにCO_2循環石炭燃焼のマテリアルバランスを考慮することで、CO_2循環石炭燃焼のシステム全体の脱硫効率を算出した。その結果、CO_2循環石炭燃焼における高効率炉内脱硫の主要因は、燃焼ガスのうち約4/5が再循環し、その中に含まれるSO_2が燃焼炉内に再流入することにより燃焼炉内のSO_2濃度が空気燃焼時の3倍以上に上昇、これにより脱硫反応の反応速度が上昇し、また脱硫反応で生成したCaSO_2の高温域における分解反応が抑制され、脱硫剤粒子の利用効率が大幅に向上するためであることが判明した。
これらの結果を総合し、本CO_2循環石炭燃焼では高効率CO_2回収ばかりでなく、極低NOx化と高効率炉内脱硫を同時に達成できること、およびその本質的メカニズムが明らかにされた。
【研究代表者】
【研究分担者】 |
小川 邦康 | 東京工業大学 | 工学部 | 助手 | (Kakenデータベース) |
平井 秀一郎 | 東京工業大学 | 炭素循環素材研究センター | 教授 | (Kakenデータベース) |
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【研究種目】基盤研究(B)
【研究期間】1997 - 1998
【配分額】9,900千円 (直接経費: 9,900千円)